章怪談 闇夜の怪談師

 これは私の地元で有名な怪談なのですがそれに合わせて私が体験したことも話していきたいと思います。

 私が通っていた高校の近くには何も祀っているかもわからないような祠が物陰に隠れるようにあります。誰かが手入れをしているのか苔むしたりはしていなくてわりと綺麗な状態でした。

 その祠について高校では七不思議のひとつとして語られていたのが「闇夜の怪談師」という話でした。

 よく晴れた新月の日の深夜に祠の前に行くと真っ黒な影が祠の前に座り込んでいて、その影の前に置かれた空き缶に小銭を入れると怪談を一つしてくれるのだそうです。

 その影の正体は暗すぎてよくわからないそうでライトをもって行くと姿を現さないそうでその影の正体を見てしまうと呪われるともいわれていました。


 私もその話が気になって友人と一緒に新月の深夜1時くらいにその祠を訪れてみました。噂の通りにライトと一応携帯電話も置いて祠へと向かいました。

 時間が時間だったので人に見られないよう注意をしながら行くと本当に祠の前に影のようなものがいました。遠目で見てもその姿は異様で不自然でした。

 存在を確認しただけで満足した私でしたが友人はそうでもなく実際に怪談を聞いてみようと言い出したんです。私は正直不気味で怖かったので反対し友人と言い合いになってしまって、多分それがいけなかったんです。

 近くの住人が通報でもいたのでしょう。警察がやって来たんです。それは私も顔を知っている交番のお巡りさんでした。顔も知られているので私たちは言い争っていたのも忘れて逃げ出しました。

 しばらく走って高校の前まで来たのですがお巡りさんが追って来ている気配はありませんでした。しかしまた祠の前に戻るのは得策とは思えなかったのでその日は友人と高校の前で別れてそれぞれ帰宅しました。


 事件が起こったのはその出来事から一週間ほど経った頃でした。

 交番で自殺があったという話でその自殺したのがあの日に現れたお巡りさんだったそうです。私はその話を聞いてすぐに友人に相談したのですが友人はこんなことを言い始めたんです。

 お巡りさんは怪談師の姿を見てしまったのではないか。その所為で呪われてしまったのではと。

 確かにあの時お巡りさんはライトを持っていたので可能性はなくはないですが正直なところはわかりません。ただあの日を境にお巡りさんの様子がおかしくなっていったのは確かだそうです。

 そんなこともあって私も友人もその祠のあたりには近づかなくなりました。今もその祠がそこにあるのかもその影が存在しているのかもわかりません。もしそこにあるのだったら夜には近づかないことをお勧めします。

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化異譚〜愛莉明と双の怪異録〜 おもちゃ箱 @ochamo

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