第3話 大変申し訳ありませんでした。〜おまけ〜


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


回答があってから割とすぐに眠気を感じ、早速寝てみた。


気付くと鳥居がある森の入り口?付近にいた。

あ、夢の中だ。てことはあっちの世界の担当から説明がある感じかー、ん?担当って神様って言ってなかった?うわ、どうしよう!どんな顔して会えば良いんだ!

とりあえず手を洗うのか?杓子で?


ワタワタしつつ、目の前の鳥居を潜ろうと近づいた。

すると鳥居の奥の階段から誰か降りてくる。

シャラシャラと上品そうな音がする。

固まっていると、これまた上品そうな声がした。


「こちら側には来てはいけませんよ。帰れなくなります。」


声の主は、背の高い男性だった。鳥居の下に居るのは全然似合わない、ヨーロッパの軍服に似た黒いかっちりした格好をしてる。顔も彫りが深くて目がオレンジ色…髪もオレンジ…目に優しくない。


「ひえっ」

ちょっと怖い。見られると土下座したくなる。


「こらこら、ルダンの担当殿。怯えてるではありませんか。私の世界の者へ威圧されるのはおやめください。」


また上品な声が聞こえた。あれ?この人の声ではないの?

するとひょこっと男性の影から小さいおじさんが出てきた。

福耳っていうんだっけ?耳たぶがやたら長い。黒髪を頭の天辺でまとめていて、それに簪が刺さっていてシャラシャラ揺れてる。さっきの音はこれか。


おじさんは私の背よりも低いので自然と見下ろす形になった。

目が合うと、おじさんは眉毛をハの字にして、申し訳なさそうに喋った。


「ステファニー嬢にも事情は説明したんだが、美空さん、貴方にも迷惑をかけてすまなかった。まずは説明するので、話を聞いてくれるかな?」


大人しく話を聞いてみたら、神様って聞いてたけど、複数神様がいるらしく、2人は調査担当らしい。

お問い合わせセンターの回答で、ルダンの担当がどうのって言ってたけど、おじさんは地球の担当だった。


ルダンの担当は全く喋らず。おじさんばっかり説明しててた。

謝罪をもらったけど、犯人?原因を作った人ももう対処されたっていうから、とりあえずいいや。


そしてステファニーちゃん。何故か彼女は私の事を気に入ったらしい。また憑依してほしいって、良いのかな?


おじさんの説明と謝罪が終わってから、ルダンの担当が口を開いた。


「憑依を固定して完全にこちらの世界に来る気はあるか?」


バリトンボイス〜。良い声だけど、やっぱり怖いな。

ってそうじゃなくて、固定?なにそれ。

私が訳わからないって顔をしてたから、おじさんが補足説明してくれた。優しい。


「つまり、地球の私はいなくなって、ステファニーちゃんの体に憑依して生きてくれと?」

「そうなんです…。ステファニー嬢はそれを望んでいるのですが、そもそも美空さんの魂は身体から離れやすくなっているので、また別の人に憑依してしまう事が考えられます。

ステファニー嬢に憑依して、固定することで、他の人の身体に憑依することは防げるんです。」

「それってどうにもならないんですか…」

「ああ。どうにか出来たらやっている。」

「私達からもどうかお願いしたいのです。憑依を繰り返すと魂と世界への負担が大きくて、最悪どちらも消滅してしまうかもしれないのです。」

「…消滅って。」


流石に世界も消えるとか言われると、頷くしかなかった。

一度解散(お目覚め)となり、私の体は程なくして存在を消された。

おじさんによると、器があると戻ろうとするとかなんとかで。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ステファニーちゃんは、私をお姉様と呼んで慕ってくれる。

ちょっと心配してたけど、お嬢様の生活は今のところ苦労していない。むしろ楽しい事だらけだ。

今は、二重人格のような感覚で、だんだん混ざり合って最終的には1つの人格・1つの魂となるらしい。


こうして異世界の人物への憑依は完了した。

あ、異世界お問い合わせセンターのアイコンは、まだ残ってる。

頼ってしまいそうになるけど計画的に使わないとね。


履歴は確認できるから、懐かしい日本語が読める思い出のものとなるのかもしれない笑

次のお問い合わせはどんな内容になるかしらね…?


少し不安になりつつも、何とかなるかと思うのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界お問い合わせセンター 水分活性 @nagare_4696

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ