第2話 竹林

 これは僕が知り合いの社長さんから聞いた話です。

 その社長さんはある知人のお寺の和尚さんから、山の上にある寺の隣の竹林の竹を切ってほしいと頼まれたそうです。

 いいですよ、と軽く引き受け、5人の社員と一緒にエンジン式チェーンソーを抱えて山を登ったそうです。

 竹林についてから、エンジンを起動しようとスターターロープを引っ張ったそうですが、不思議なことに6人全員のチェーンソーのエンジンがまったくかかりません。

 何回やってもかからなかったそうです。

 社長さんは霊とかの存在を信じる人だったので、ああこれはまずいな、と思ったそうです。

 すぐに社員と一緒に山を下りることを決意。

 みんなで急ぎ会社の事務所まで戻ったそうです。

 故障が疑われたので、会社についてからもう一度、チェーンソーのスターターロープを引っ張ってみると、全員のチェーンソーがあっさりと起動したそうです。

 結局、一台も壊れていなかったということでした。

 その後、社長さんは知人の和尚さんに電話し、申し訳ないけどこの仕事は引き受けられないとお断りしたそうです。

 和尚さんは、ああやっぱり駄目ですかと残念そうに答えたと言っていました。

 この竹林について社長さんがなんで切ろうと思ったんですかと尋ねると、和尚さんは言いにくそうに、なんかお寺で事故や怪我が頻発したため、どうも竹林が原因じゃないかと、社長に仕事を依頼したそうなのです。

 結局、竹林はどうすることもできず、そのまま放置することになったとの話でした。

 やっぱり山は怖いですね。

 社長さんが霊の存在を信じない人で、斧やのこぎりなどを使い、無理をして竹林を切っていたら、どんな大きな事故が起きたかわかりません。

 信じる信じないは個人の自由ですが、霊の存在を信じない人はこういう事で巻き込まれる危険もありますから、自分の身の危険にはじゅうぶん注意してくださいね。

 僕は責任を持てませんよ。

 霊の存在を信じる人は、僕の警告を頭の隅に留めて、山は怖い場所、霊は電気を操れるという事を覚えて、注意してください。

 僕の経験上、霊のいる危ない場所は、昼間なのになぜか暗く感じる。その場所を見ていると何か嫌な感じがする、背筋が寒く感じるなどの現象がありますので、思い当たる場所があったらすぐにその場所を離れてください。

 長く留まって、良いことは無いと思います。

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山には怖い存在がいるという話 みこがみ明 @mikogami2020

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