山には怖い存在がいるという話
みこがみ明
第1話 山の霊
昨夜は寝苦しかったので、怖い夢を見てしまいました。
そこで僕が夢に見た過去に体験した話を皆さんに伝えなければと思い、今回筆をとりました。
この話は以前、僕が仕事で大分県に行った時の話です。
大分に用事があった僕は、車のナビゲーションに目的地の会社名を入力し、ナビどおりに車を走らせていました。
どんどん山道を登り、ナビどおりに車を走らせるのですが、何故か目的地に着く気配がありません。
車のナビゲーションを使ったことがある人はご存知でしょうが、山の中では、あまり正確にナビゲーションが働かないことが多いのです。
そのうち、舗装されていない車一台が通るのがやっとの道が目の前に現れました。
しかも右側は崖になっており、ガードレールもありません。
ナビゲーションを見ると、この道を真っ直ぐ進めと表示されています。
いくらなんでも、知人の会社がこんな危ない道を通るはずがない、その時、僕はそう思いました。
しかし、もたもたしていると約束した時間に間に合いそうもありません。
一か八か勝負するか、少し判断に迷ってしまいました。
そして僕は以前、知り合いの霊能者から聞いたある話を思い出しました。
それは、霊達は電子機器を操るのが得意だという話です。
彼らは電気のような存在で、そのために電気を操るのが得意なのです。
ホラー映画でよくありますよね。
急いで逃げようと、車のエンジンをかけようとすると、何故かかからないという現象が。
アレは絵空事ではありません。
霊にはそういう事が可能なのです。
僕は、どうも誘われているな、そういう嫌な予感がしました。
昔話で、男の子や女の子を山の神の生贄にする話がありますよね。
そういう訳で山に住む彼らは善なる存在ではありません。
むしろ、人間が恐れるべき存在なのです。
土蜘蛛とかぬえみたいな、妖怪に近い存在だと思ったほうがいいでしょう。
まあ、約束の時間に遅れても謝れば済むことだ。
僕は腹をくくり、ナビゲーションを無視して、車をバックさせてUターン、とにかく下に降りて大きな道へ出ることにしました。
山の中は彼らの支配領域だからです。
途中コンビニを見つけたので、そこで気を落ち着かせるため暖かい缶コーヒーを買い、ナビゲーションにもう一度目的地を入力すると、今度は下道を通るルートが出てきました。
おかげで、その後はスムーズに目的地の会社にたどり着くことができました。
もし僕が霊達が電子機器を操れるという話を聞いていなければ、あの崖のある未舗装の道に誘い込まれてしまったかもしれません。
今から考えても背筋がゾッとします。
助かった最大の理由は知識、霊は電子機器を操って人を危ない場所に誘い込むという知識です。
だから僕は、僕の話を読んだ人にこの知識を身につけてもらい、特に山へ行く人にはスマホのGPSを盲信しないよう注意してもらいたいと思ってこの文章を書いています。
山では毎年多くの人が事故で亡くなっていますが、山は怖い存在が住む場所だということを忘れないでください。
僕の文章を読んだ人が、僕の話を思い出し、一人でも危ない目から逃げ出してくれれば幸いです。
最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
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