白銀のみことのり

灰崎千尋

あとがき

 草食信仰森大賞、お疲れ様でした。

https://note.com/kusawotabenai/n/n8ef5ceeec7da


 拙作「白銀の巫子」https://kakuyomu.jp/works/1177354054921545857は、謎のショートカット賞をいただく栄誉にあずかりました。


 神ひな川に引き続き、評議員個人賞をいただけて、ありがたい限りです。



 さて、講評を受けてあとがきを書いてみようと思うのですが、そもそもの始まりはかなり前で、第2回こむら川小説大賞にぎりぎり遅刻した「ミズチの嫁入り」https://kakuyomu.jp/works/1177354054917531388を、草食ったさんが気に入ってくださって。そのときに「自分が支流を流すならテーマは宗教にする」と、そのようなことを仰ってたはずなんです。

 そこからじゃあ架空の神様を練り上げようと思って出来上がったのが、「原初の神話」です。我ながらこれは結構、気に入っています。旧約聖書とか、北欧神話とか、有名どころの創造神話をざっくり調べて、太陽と月が夫婦そろって最高神の、二柱になるように。

 こういう感じの神様なので、彼らを信仰する人々の間では、同性との浮気には寛容とか、そんな裏設定がひっそりあったりします。

 神様の名前は、私にネーミングセンスが無いのと現実にかぶってしまわないように、四文字指定のカタカナ名ランダム生成機能から何回か吐き出してもらった中から選びました。

 作中で主人公に説明させると、とっちらかってしまいそうなので、最初にばばんと神話そのものとして出すことに。


 で、レギュレーションが「宗教」じゃなく「信仰」だ、とわかってから悩んだものの、このお話はちゃんと完成させたかったので、私なりの「信仰」も詰めてお出ししました。


 本編は先にオチを決めていたんです。

 以前、日本の神懸かりの儀式の映像を見せてもらったことがあり、いつかこのトランス状態を文字にしてみたいと思っていたのです。

 そして個人的には、神が本当にいるとしたら、人間がいくら足掻いたところでどうしようもないんだろうなぁ、という思いがあるので、あの結末に。人が信仰していようがいまいが関係ない。

 でも他の方の作品を読むと、確かに「信仰」の表現としては弱いなぁ、と反省しています。修正しきれませんでした。これが書きたかったもので……


 髪には力が宿る、というのは割と一般的な考えだというのと、なんとなく長髪イケメンの流れが界隈に来ていたので、巫子はみんな銀の長髪です。長髪イケメン、良いですよね、私も好きです。髪を結う光景も個人的にエモい。髪に触れるのって精神的に近くないと許されない感じだし。


 主人公のレトは美しいけれど目つき悪めの、不良神官。信仰心は正直無いけれど、巫子としての力はある、月の男神シィロアのおぼえめでたき子。ミアはそれと反対の子として配置しました。

 「太陽の足跡そばかす」という表現を褒めていただけて嬉しかったです。こういう別名に独自の文化が表れたりするので、その感じをふんわり出せたらなぁ、とやってみました。

 その延長で、二人の故郷の村とかも設定していきました。「白銀の巫子」、レトの一代記であると同時に、巫子のおしごと小説にもしたかった。


 文字数が許せば、スゥの出番はもっと増えるはずでした。後輩をからかいつつもちゃんと気にはかけていて、ちょっと女性っぽいところもあり、レトのことは結構本気で気に入っている。というのがわかるエピソードを入れたかった……ミアとセオの匂わせも、確かにもうちょっと入れても良さそうです。でもこの本編、現時点でも常に不穏なんですよね……


 そして私はショタコンではないので、神殿には美少年と美青年が入り混じる感じとなっております。

 そもそもBL、それなりに長いこと読んではいたのですが、実のところちゃんと書くのは初めてで。

 官能表現も初めて書きました。「みひつのこい」では男女のそれをさらっと書いたくらいでしたし。ここはえいやーっと書いたので褒めていただけて嬉しい。


 評議員三名中お二人に「太陽側も書いてほしい」と言われて驚きました。光栄です。何にも決めてませんでした。

 金髪だらけの女の園、絶対大変なことになるでしょうね(でも本当に何も決めてない)



 どんどん取り留めのない話になってしまいましたが、楽しく参加させていただきました。

 難しいけれど実に面白いテーマでした。他の皆さんの作品も本当に素晴らしくて。

 また別の川や森で遊びましょう。

 

 

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