本当に怖いのは?
「この頃、きちんと片づけができるようになったわね」
たたんだ洗濯物を持ってきた母さんは嬉しそうだ。
「『もったいないおばけ』の本のおかげね」
本のおかげというより、もったいないおばけそのものの、おかげだけどな。探し物している期間に、リコーダーにみっちりしごかれたもんなぁ。
「片づけができるようになるまで、毎日本を机の見えるところに置き続けたらいいって言われたけど、本当にそれだけで、こんなにきっちりできるようになるなんて、びっくりだわ」
目に見えるところに置いてたから、できるようになったって思ってるのか。
「あっ!」
「なに?」
「本がなくなってる」
本棚に入れておいたはずの『もったいないおばけ』がなくなっている。
「ああ、友達の子どもが片づけができないって言うから、あげたのよ。うちにはもういらないでしょ。できるようになったら次に回してねって言われてもらったきたのよ」
それって、どんどんいろんなところに回っていくってことだよな。片づけのできる子にしたいっていう親の気持ちを利用して、あちこちに広まるつもりか? もったいないおばけ、実は怖い?
っていうか、もしかして、もったいないおばけが出てくることを、親は知ってるのか? そうやって、おばけを使って片づけできる子にさせようとしてるのか? もしそうなら。
ちらっと母さんを見る。
……にやりとわらったような気がしたのは気のせいか?
親って
もったいないおばけ 楠秋生 @yunikon
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