妹は兄に匂いをつける

「んん……兄さん」


 氷天に沢山キスを求められ、優介は応えるように彼女にキスをしていく。

 もう何度目かわからないキスは、氷天の瞳をさらに蕩けさせている。

 転校生である理奈の存在が氷天に変化をもたらしたらしく、自分が優介を独占しないと気がすまなくなったのだろう。


「兄さんとのキス……病みつきになりそうです」


 今までも氷天は依存していたが、キスをしてからさらに加速してしまったらしい。

 キスをいっぱいねだってくる氷天は非常に可愛いが、これは明らかに兄妹がすることではない。

 頭では妹とキスをするのはダメだとわかっているが、氷天の唇が柔らかくて気持ち良くてついしてしまう。

 もっともっとキスをしてほしい……という瞳で見つめられ、否応なしにキスをするしかない。


「氷天……俺は着替えたいんだが」


 ずっとキスをしていたため、夜になってお互いに制服のままだ。

 それにいつもなら夜ご飯の時間で、お腹も空いてきた。


「そうですね。着替えてご飯にしましょう」



 最後に軽くキスをし、着替えに自分の部屋に向かった。



「兄さんは理奈ちゃんみたいな人が好きなんですか?」


 夜ご飯を食べ終わってリビングでのんびりしていると、後片付けを終えた氷天が尋ねてきた。

 氷天にとっては理奈は油断ならない相手らしい。

 席が隣になってしまったのはどうしようもないが、なるべく優介に近づけたくないと考えているだろう。


「別に興味はないな」


 初対面である優介にも距離が近かったということは、他の人相手にも同じと言える。

 すぐに体を許すビッチには見えないが、思春期の女の子が親しくもない異性に気軽に接してくるのは好きではない。


「そうですか。えへへ」


 ハッキリと興味がない、と言ったからか、氷天の口元は嬉しそうに緩んでいる。

 自分だけが兄さんに愛されている、と思っているのかもしれない。

 兄妹愛はあるが、優介に氷天を恋愛対象として見れる自信はなかった。

 普通の兄妹ではしないようなキスまでしているのに関わらずだ。


「てか理奈ちゃんって呼ぶんだな」

「本人がそう呼んでって言ってましたし」


 優介は理奈を名前で呼んでいなかったが、氷天は本人の希望に沿ったようだ。

 ただ、あくまで仕方なく、といった感じで、本当はあまり名前で呼びたくないようにも思える。


「理奈ちゃんのことはどうでもいいので、今は兄さんについた理奈ちゃんの匂いを私で上書きします」


 自ら抱き地蔵の体制になった氷天は、優介の頬に自分の頬を擦りつける。

 氷天自身からくっついてくるのは非常に珍しいことであるが、どうしても理奈の匂いを取りたいらしい。

 くっつけている頬に熱を感じるので、今の氷天は耳まで真っ赤になっているだろう。


「上書きって……あいつが俺に触ってきたのは頬っぺたじゃないぞ」


 授業中に教科書を見せていたから肩や腕になら分かるが、何故か氷天は頬に自分の匂いをつけようとしている。

 嫌ではないのでそのままでいるが、氷天にとって最愛の兄に他の女の匂いがつくのは絶対に嫌らしい。

 そもそも毎日一緒に寝ているので、優介には氷天の匂いがたっぷりとついているだろう。


「もう……兄さんの体を私の匂いでいっぱいにしたいんですよ」


 氷天はどうしても優介の体を自分の匂いでいっぱいにしたいらしく、頬を擦りつけるのを止めようとしない。


「首にもつけますね」


 次は首に匂いをつけたいようで、氷天は自分の頬を優介の首筋に擦りつける。

 首は少し敏感なとこなので、優介はくすぐったくなるも我慢することにした。

 氷天自らくっついてきてくれているため、このままいけばくっつくのに慣れてくれるかもしれないと思ったからだ。

 思う存分くっついてもらい、少しでも慣れてくれると嬉しい。


「兄さん、もっとです」


 優介はひたすら氷天に匂いをつけられるのだった。

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妹は抱き地蔵(セックスの体位)の体勢じゃないと寝れない体質で一緒に寝ている内に好きになったらしい しゆの @shiyuno

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