第4話 インベントリとRoom

朝食後、部屋に戻るとメアリーが着いてきた。


「メアリー、仕事は?」


「はぁ? 何を寝ぼけているのですか? 私の仕事はあなたのお世話をすることですよ?」


「そうですよね。専属メイドさんですものね。ところで俺のプライベートの時間は無いのでしょうか?」


「寝ているときぐらいですかね。まあ、男の子ですからそういう時間がほしいのは分かりますが、まだそんな歳ではないでしょ? それにお粗末ですしね。」


「メアリー! それは男の子に絶対言ってはいけないことだからね!」


どうやら朝起きてから寝るまでずっとそばにメアリーがいるらしい。

魔法の練習とかできないじゃないか!


「メアリーさん。5歳になったのでそろそろ剣や魔法の練習をしてみようと思うのですが、教えてもらえないでしょうか?」


「魔法は10歳の洗礼の儀式をしてからじゃないとダメです。神の祝福を得て、魔法の適正を調べてからです。剣は素振りくらいなら始めてもいいかもしれませんね。」


新たな情報を得た。

10歳になると洗礼の儀式があるようだ。

普通は10歳になるまでステータスがわからないらしい。

ということは魔法は10歳までお預けかな?

いや! 俺には頼れる叡智さんが居たんだった。


『叡智様、魔法の練習をしたいのでアドバイスをお願いします。』


『さすがにメアリーさんがいるときは難しいかと。寝たフリをしてメアリーさんが退出してからにいたしましょう。それと名前を付けていただけませんか? 叡智と呼ばれるのはなんか可愛くないので。ちなみに安直な名前は却下します。』


『じゃあ、ティアでどうかな? 涙っていう意味なんだけど、可愛くって綺麗な名前でしょ?』


『合格とします。今日から私をティアと呼んでください。』


『マスター。ところでインベントリの中をまだ見ていませんよね? インベントリ内一覧と心の中で唱えてください。』


『了解! インベントリ内一覧』


【インベントリ内一覧】

 ・現金:100金貨

 ・神からもらった短剣: 神剣

 ・神からもらった指輪: 神鎧

 ・1月分の食料

 ・衣服(スーツ、ジャージ、パジャマ、下着等)


『神様がいろいろ入れてくれたみたいだね。』


『神からもらった剣と指輪は決して売ってはいけません。この武具は、魔物を倒した時に魔力を吸収し、成長、進化します。一生使える武器になりますので無くさないように。』


『了解。出して確認したいけどメアリーがいるのよね。。。』


『夜になるのを待ちましょう。』


「アオイ様、何をニヤニヤしているのですか? キモイですよ?」


「俺って、ご主人様だよね? なんかひどくない?」


「そうですね。では、昨日の続きの読み書きのお勉強をしましょうか。」


流された気がする。


「あれ? メアリー、全部読めるけど? 多分、書けるよ?」


「一晩で天才になったのですか? じゃあ、読んでみてください。」


スラスラと読めてしまった。

そして、メアリー宛の感謝の手紙も書いてみた。

メアリーが唖然としている。

スキルにあった翻訳が良い仕事をしているのだろう。


「昨日まで自分の名前すら書けなかったのにどうしたのですか! 話し方も変わったし別人のようです。あなたは誰ですか?」


「やだな。アオイだよ。今朝も俺の下半身を確認したじゃないか。」


「そうでした。確かに見慣れたお粗末なものでした。」


「・・・・」


そんな感じの会話をメアリーと交わしながら夜を迎えた。


「おやすみなさい、メアリー。」


「おやすみなさいませ、アオイ様。添い寝しないで大丈夫ですか?」


「結構です! おやすみ!」


やっと解放された。


『ティア、準備OKだよ!』


『では時間がもったいないので、まずRoomを起動してください。Room内は時間の流れを調整することができます。2倍ぐらいにしておけば睡眠をとった後でもゆっくり練習ができますよ。』


Roomを起動すると何も無かった部屋の壁にドアが現れた。

ドアを開け中を覗くと地球では普通のワンルームがあった。

小さなキッチンもあり、ベットもあった。

え? 家電? 電子レンジや炊飯器がある。

コンセントに差し込んである。

電気はどこからきているんだ?

深く考えたら負けな気がするので、そういうものだと納得することにした。

中に入り設定ボタンを押すとさっきティアに言われた時間設定画面が現れた。

とりあえず、時間経過2倍にしてみる。

長命なハーフエルフの俺にはこの時間経過は誤差の範囲だろう。

そして目覚まし時計を5時間後にセットし、ベットに潜り込んだ。

低反発マットに羽毛布団、最高です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る