第6話 初の魔物狩り
6歳になった俺はやっと剣術を教えてもらえることになった。
「今日から剣の修行を行います。着替えてお庭に行きましょう。」
「わかった! よろしくね、メアリー。」
そういえば、家から出るのも初めてかもしれない。
いつも窓から外を見ることしか許されなかった。
魔物がいる世界なので幼い子は家の中で保護するのが当たり前なのかもしれない。
メアリーの後を追って庭へ出た。
豪邸だとは思っていたが、振り返ってみた我が家は城だった。
中世ヨーロッパ風のいかにもと言った感じの城だった。
うちの父は俺が思っていたより、とても偉い人なのかもしれない。
我が家(城)は小高い山の上にある。
山のふもとまでが我が家の敷地だそうだ。
その周囲に城下町が広がっている。
城下町と我が家の敷地の間には高い壁がある。
それは子供たちが魔物を狩る訓練をするため、山に低級の魔物を放っているからだ。
町に魔物が出ないための壁だ。
これは頭の怒れた父の考えである。
剣豪と言われただけあって脳筋なのだ。
メアリーから木刀を渡された。
「まず、持ち方はこうです。構えて、振り上げ、降ろす。やってみてください。」
「わかった! こうだね。」
「あら? なかなか筋がいいですね。剣豪のお父様の血を引いているからですかね。」
剣術スキルを持っているからだとは言えない。
この1年、魔法の練習はしたが剣術は全くしていなかった。
その後、しばらく素振りをし、剣技を教えてもらった。
「そろそろお昼です。午後からはお勉強ですよ。」
言語はスキルのおかげで問題無し。
算術は前世の知識があるので問題なし。
急に賢くなったとメアリーが驚いていた。
それで今は魔法や魔物についてお勉強している。
この世界の魔法には詠唱が必要とされているようだ。
長ったらしい詠唱をするのだが、間違えずに唱える自信がない。
俺は無詠唱でいけるのだが、メアリーには言えない。
それで最近は、ひたすら詠唱を覚えさせられている。
正直苦痛だ。
魔物には強さ、危険度によってランク分けされているそうだ。
我が家の敷地内にいるのは低級のスライム、一角ウサギ、吸血蝙蝠、ゴブリンくらいだ。
でも庭までの生活圏内には結界が張ってあり、魔物は侵入できなくなっている。
魔物を狩ってみたいと言うとアホかとメアリーさんに叱られてしまった。
まあ今日初めて木刀を振ったレベルだしね。
しかも6歳児だし。
そして、半年が過ぎた。
勉強のおかげで中級魔法までの知識を得た。
知識があればイメージで魔法を行使できちゃったりする。
賢者の職業と母の血のおかげだろうか。
剣の方もそれなりに様になってきた。
軽く打ち合える程度にはなっている。
「それでは今日はちょっと魔物を狩ってみましょう。」
「やった!」
庭を出て結界の外に出た。
念のため気配探知、身体強化を発動した。
「あれ? 何かしました? 雰囲気が変わったような?」
「気のせいだよ。初めての狩りだから緊張しているけどね。」
意外と鈍感なメアリーを誤魔化すことができた。
実際には身体強化で魔力に覆われてステータスが大幅アップしているのだから気づいて当り前なのだけど。
鈍感なおかげで1年半ばれずにいる。
定番のスライムが現れた。
ドロップ型の可愛いスライムを想像していたが、実際はアメーバー状のドロっとしたものだった。
「いいですか。あれでも魔物です。こちらが攻撃を加えれば敵として認識し襲ってきます。気を引き締めて戦ってくださいね。」
「イエス、マーム!」
「では、こちらの武器を。木刀では倒せませんのでこちらの短剣を使ってください。体内にある赤い丸いものが核で、あれがスライムの弱点です。核を貫いてください。」
狙いを定めて一気に核を突き刺した。
スライムはビクッとなってから液状になり消えていった。
そして小石のような魔石が残った。
「これが魔石です。魔物には必ず存在しますので魔物を狩った時は回収するのを忘れないように。燃料や魔道具の材料になるので買い取ってもらえますよ。」
魔石を拾い上げ、ポケットにしまう振りをしてインベントリへ収納した。
その後、3匹のスライムを倒すとレベルが上がった。
一角ウサギも出てきたので剣でさばいて倒した。
一角ウサギは名前そのままで一本の角が生えたウサギだった。
素早く動き、角で突いてくる。
ウサギを5匹狩ったところでまたレベルが上がった。
*ステータス
名前: アオイ・ハワード
称号: 辺境伯4男、転生者、ハーフエルフ
職業: 賢者
性別: 男
年齢: 6歳
レベル: 3
状態: 興奮、疲労
HP: 150
MP: 260
STR: 20
INT: 125
DEF: 15
AGI: 20
DEX: 60
Luck: 999max
スキル
鑑定、インベントリ、魔力感知、魔力操作、気配探知
戦闘スキル
剣術、身体強化
魔法スキル
生活魔法:クリーン、ファイア、ウォーター、ドライ、ライト、スモーク
火魔法:ファイアボール、ファイアアロー
水魔法:ウォーターボール、ウォーターカッター
風魔法:ウィンドカッター、エアショット
光魔法:ヒール、キュア、プロテクト
闇魔法:バインド、スリープ、ドレイン
土魔法:アースウォール、アースシェイク
氷魔法:アイスニードル、アイスウォール
雷魔法:サンダースピア、サンダーアロー
時空間魔法:空間管理
ユニークスキル
成長促進、叡智(ティア)、Room(1K)、全魔法適正、翻訳、editor
MP、INT、DEXの上りが良いのは1年半の特訓の成果と職業による補正だ。
「そろそろ帰りましょうか。初めての狩りで疲れたでしょう。ウサギはコックに渡して今晩の夕食の材料にしてもらいましょう。」
もっと狩りたいという気持ちはあったが6歳児の体力ではそろそろ危なそうだ。
夕飯のときに父に狩りのことを話すと脳筋の父は喜び新しい剣をくれた。
その夜、神からもらった短剣に父からもらった短剣と魔石を吸収させた。
そして形状は父からもらった剣に偽装した。
これで堂々とこの剣を使える。
次の日からはこの剣を使って、剣も成長させることにした。
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