第8話

 真夜中のサーカス。

 檻の中は、安らかな静けさがあった。

 まるで、天使が隠れて遊んでいるかのような静寂。そんな中、ルーナがエリーゼの流れる血を舐める音だけが微かに聞こえた。

 エリーゼの白い肌は、ルーナの爪と、牙で、ボロボロになり、周りには真っ赤な血が広がり、食い散らかした臓器が散乱していた。

 エリーゼの血を美味しそうに舐めた後、ルーナは幸せそうに、彼女の腕の中に顔を埋めて眠りについた。まるで、初めて抱きかかえられた、あの日のように。いつもと変わらない明日を、待ち焦がれる子供のように、安らかな顔で。




 おやすみなさい。

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月が見ている 荒瀬 悠人 @arase_yuto

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