第5話
「あのさ、俺とパーティー組まないか?」
俺はここまで送っている最中ずっと考えていた、まず葵さんが心配になった、またこんなことが起こるかもしれないと、さすがに放っておくことは男としてできない
そして、ボスに言われた20階層まで攻略してこい
もしかしたら今やるべきなのかもしれない、一生逃げていても何も変わらない、少しは立ち向かう勇気も必要だ
俺はダンジョンがこわい、でもほんとに怖いのは親を殺したあいつ、魔王なんだ
最近、ダンジョンにいて気づいたことだが魔物全般に対しての恐怖心はそこまで強くなかった、確かに強いヤツに対してはあるが、魔王のことを思い出した時は頭から足の先まで一瞬で凍りつくように震え冷たくなっていた
俺にとってそれほどの存在なわけだ
ボスはもしかしたらそういう所までわかった上で言っていたのかもしれない
そう考えるとボス怖いな...
「え、えーーーーーーっ、いきなりだね!そ、そうだね、私は嬉しいよ?!......ほんとにいいの?」
ここはなんと言おうか、葵さんを心配して仕方なくパーティーを組んであげるみたいな感じに捉えられているかもしれない、ならここはストレートにいこう!
「君がいいんだ」
決まった!これならこちらの本気が伝わるはず!
「っ!そ、そんな...君がいいだなんて......、えっと、じゃあこちらこそお願いします......」
かなり照れてらっしゃるけど気持ちは伝わったかな
「よかった、じゃあまた明日!」
「う、うん、また明日」
顔が赤くなって照れてる葵さんは可愛いなぁ
俺はいま、教室の扉の前にいる
いくぞ、昨日のことを村田に聞くんだ!震える
な、俺!...よしっ!
ガラガラ
いたっ!
「村田、話がある」
「ん?宮田ぁ?朝っぱらからどうしたぁ?」
「昨日のあれはお前の仕業だな?」
「なんのことを言ってるんだぁ?」
「昨日、お前が5人組に葵さんを連れてくるように命令したことだよ」
「命令ぃ?何を言ってるかさっぱりわかんねーなぁ」
なっ、こいつ、なんて白々しいやつめ!
警察に捕まって反省してないのか?...ん?
ちょっと待て、警察に捕まったんだよな?仮に釈放されてもなんで昨日の今日で学校に来れるんだ?
まさか捕まってない?ということは昨日の奴らが自供してないってことか?
それとも村田違い?他にも同姓同名がいて俺はそいつと勘違いしたのか?
「警察はどうした?」
「はぁ〜?なんで警察だぁ?」
ほんとに違うのか?俺がこいつならやりかねないと思って決めつけていたってのか!
「おいおい、急に黙るなよ〜、なんだぁ?俺が何かの事件の犯人だとでも思ったかぁ?」
「っ!」
何も言い返せない!クソっ
「なにか言えよぉ、おい!」
そして村田が俺に拳を振るってきたのが見えた
「まぁ、落ち着けって純、何があったかは分からないがとりあえずその拳は降ろせ、みんな見てる、それから勘違いで疑っていたなら謝ろうぜ、な?宮田」
そこに割って入ってきたのは相澤だった
今日もイケメンですね、さすがです
「そう、だな......疑ってすまん」
俺はそれしか言うことがなかった
「それだけじゃ納得いかねーなぁ、 ここで土下座して俺のパシリにでもなるなら許してやらなくもないぜぇ?」
「もういいだろ純、宮田も謝ったんだ、それにもうチャイムも鳴る、今回はこれで許してやれ、な?」
「チッ、助かって良かなぁ、宮田ぁ」
村田はニヤニヤしているの見て確信した、やっぱりこいつだと
だが、何も言う資格がなかった俺はトボトボと自分の席に戻った
「それでさぁ、あいつが────────、聞いてるか?」
「あ、あぁ」
ごめん、全然聞いてなかったわ
「まだ朝のこと気にしてんのか?俺もびっくりしたけどよぉ、あいつなら疑いたくなるのもしょうがねぇって、」モグモグ
健二はカツカレーを食べながら励ましてくれた
「ありがとうよ」ズルズル
俺は塩ラーメンを食べながら感謝を述べた
「ねぇ、ここで一緒に食べてもいい?」
葵さんが声をかけてきた、後ろには友達と思われる女子を2人を連れて
「え、もちろん!ささっ、どうぞどうぞ〜」
俺が答えるより前に健二が答えた
「ほんと?ありがとう〜、じゃあ失礼するね!」
俺と健二は隣合って座っていたため、その前方に3人が座ったため俺たちと葵さんたちは向かい合っている状態だ
「あっ、そうだ!まず初めに紹介するね、私の友達のななちゃんと、あーちゃんです!」
「松井 ななでーす、よろしくねー」
元気な感じの茶髪でポニーテールの女の子だ
「そして私が佐藤 彩、まぁよろしく」
少し冷たい感じがする黒髪ロングの女の子だ
「はいはーい!俺は木村 健二です、部活はダンジ
ョン部なんでなにかあったら俺を頼ってください!」
健二はやたらテンションが高い、アピールもすごい
「俺は宮田 照一です、俺は部活はしてません」
この感じ何となく合コンではなかろうか?
「知ってるよー、あおちんが最近すごく君のこと話すんだー、だからどんな人かなってすごく興味あったー」
「え、ちょっと!それは今はいいでしょー!」
へぇー、葵さんが俺をねぇ...もう少し話しを聞きたいとこですなぁ
「私もあなたに興味があった、あおいに相応しいかどうか確かめるために」
俺に興味があっただと?!これはもしやモテ期では?ついに俺にも彼女が!
「そういえば、本田さんのことこいつが今朝、命令がどうやらでむら『ガバッ』うぐっ」
俺は急いで健二の口を塞いだ
「ばかやろー、その話しは葵さんにしなくていいんだよ、心配させちゃうだろ!」
健二の耳元で他の人に聞こえないように忠告した
そして、理解したのかコクコク頷いたので口から手を離した
「かはっーー、死ぬぞ!息できなかったじゃねーか」
「わりぃわりぃ...、それで葵さんがいきなり一緒にご飯なんてどうしたの?」
疑問に思った俺は葵さんに聞く
「えー、パーティーを組んだ相手にそんな言い方ないと思うなぁ」
「パーティーを組んだぁー?!どういうことだ照一!」
「あおちんどういうことー?」
「私もびっくり」
「実はね、昨日誘われたんだぁ、しかもあんなこと言われちゃ、断れないもん」
俺の方を見ながらニヤニヤして言った
「あんなことってなんだ!教えてろー!」
健二がそう言い、女子2人も気になるのか俺の方を見てウンウン言っている
「ほらー、みんなに教えてあげたらぁー?照一くん♡」
葵さんが小悪魔に見える、きっと俺が恥ずかしくて言えない姿が見たいのだろう
だが
「言っていいの?」
「どうぞどうぞ〜」
じゃあ遠慮なく
俺は葵さんの目を真っ直ぐ見て
「君がいいんだ」
言ってやったぞ!
「ふぇっ?!」
「キャーーー!」
「だいたん」
「なんてやつだ、」
まさか言えると思っていなかった葵さんは顔を真っ赤にして俯いてしまった
「照一くんはこんなこと言えちゃうんだー、私も言ってみようかなー、あやー」
ん?ななさんは何を言うって?
「ん?なに?」
「君がいいんだ......、キャーーー、恥ずかしいー!」
なんてことをーーー!こっちが恥ずかしいわ!
「ちがうちがう!松井さん、多分こいつならこう言う!」
ま、まて!お前までやめろ!
「君がいいんだ」キリッ
「あー、そっかー、さすが木村くん!......君がいいんだ」キリッ
「もうちょっとこうだと思う、......君がいいんだ」キリッ
みんなやめてーーー!!もうむりーーー!
まさか葵さんこれが狙いだったの?!
そうして3人で盛り上がっている間、俺と葵さんは俯いて顔を赤くしているのがやっとだった
昼休みがそろそろ終わりに差し掛かったとこ
「はぁー、笑ったー、楽しかったねー」
「うん、私も楽しかった」
「だな!また一緒にみんなで食べようぜ」
どうやら3人は仲良くなったらしい、良かったね健二、念願の女友達じゃん!
「あ、そうだ!照一くん!」
「ん?」
「今日、ダンジョンどう?」
「あー、わかった」
「うん!じゃあ後でね」
そうして葵さんたちはクラスへ戻っていった
「あおちんやるじゃんー」
「ヒューヒュー」
後ろで2人に茶化されながら
一方の俺も
「なーにがわかっただ!見せつけやがって!この野郎ー」
健二に羽交い締めされながらクラスへと戻った
学校が終わり俺と葵さんはダンジョンゲートホールまで来た
奥にある神殿のような形のしたのがダンジョンでありそれを取り囲むように大きな建物を建て、ホールのようになっているため色んな人がここで待ち合わせをしたり、カフェやレストランもあるため活用する人は多い、この建物をダンジョンゲートホールと言う
ここにある更衣室で着替え、ロッカーに荷物をしまった俺たちはまずステータス計測器へと向かった
ステータス計測器とは名前の通り、自分のステータスが数字化され、なおかつ称号、スキルまでわかる機械である、これを開発したラヴ・ハースティンは当然ノーベル賞を受賞した
まずこれを使うには冒険者資格が必要で更に登録が必要である、登録の仕方は計測器から針が上向きに出てきて、そこに指の腹を刺し少量の血を流すことによって現在の自分のステータスが登録される、更新時は同じようにすればでき、さらにそのステータス表をQRコードでスマホにも送れる優れものだ
そうして俺たちは更新を済ませると、受付に向かった
「ダンジョンの侵入許可をお願いします」
「あら、葵ちゃん!今日はひとりじゃないのね、そちらはもしかして彼氏さん?」
「うぇっ?!違いますよー、ひよりさん!ただのパーティーメンバーです!」
どうやらこの受付嬢と葵さんは知り合いらしい
だが、今の葵さんの言い方はちょっと悲しいぞ!
「はい、ただのパーティーメンバーです」
「何その言い方〜、気に入らなかったの?」
「別に〜、もうちょっと他の言い方あったんじゃないかなとか思ってませんけど〜」
「絶対思ってるじゃん!わかった、じゃあ唯一無二のパーティーメンバーです!これでどう?」
唯一、無二...、つまり葵さんにとって誰よりも俺が大切ってこと!
やばい、そう考えると顔がニヤける
「唯一無二のパーティーメンバーです!どうぞお見知り置きを」
「あらあら、随分仲がいいのね〜、でも葵ちゃんもパーティー組める人見つかってよかったわね?」
「まぁね!」
「それじゃあ侵入を許可しますっと、帰りは何時頃になる?」
「えっと、8時で!」
帰りの時間を知らせることは規則となっていて、もしその時間を2時間過ぎると捜索隊が出される
ちなみにその捜索隊はダンジョンサポートセンターから出され、ボスが捜索隊の隊長だ
さらに言うと回収班も同じでダンジョンサポートセンターは主にこの2つの仕事をしていて、バイトを募集して清掃までしているというわけである
「わかったわ、それじゃあ気を付けて行ってらっしゃい」
「うん、それじゃあ行ってるくね、ひよりさん」
「えっと、行ってきます」
「2人とも頑張ってー」
そうして俺たちはダンジョンへと向かった
「それじゃあ私たちで10階層クリアがんばー!」
「おー!」
そう意気込み、10階層まで転移した
「それじゃあさっき話した通りステータスを見せ合うってことでいいんだよね?」
「あぁ、大丈夫だ」
基本的に冒険者はステータスを相手に見せることはない、パーティーを組んでいたとしても口頭で言うのが一般でお互いを信用していないとできることではない、相手に自分の長所、短所を嘘偽りなく見せることになるのでデメリットの方が大きいからだ
なぜ俺たちは見せ合うことになったかと言うと
「なぁ、ステータスのことなんだけどさ」
「うん?あとで教えてくれればいいよ?」
「そうなんだが、俺は葵さんにステータス表を見せたいと思うんだ」
俺がこう言った理由にはまず、パーティーを組むにあたって俺の過去を知っておいて欲しかったからだ、俺は20階層より上を攻略する気はいないでいる、その理由もその時に理解して貰えると思っているからだ
「え、でもいいの?その、ステータスは基本相手に見せないよ?」
「うん、いいんだ、俺の事を知ってもらいたくて」
「ふぇっ?!そ、そんなに真剣なんだ......わかった、じゃあ私も見せる!」
「え、いいのか?別に俺だけでもいいんだぞ?」
「んーん、お互いに見せた方がいいと思うから...」
「わ、わかった、じゃあお互いみせよう」
そんな感じで見せ合うことになった
俺はダンジョンが嫌いだ ポン酢 @0110R
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺はダンジョンが嫌いだの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます