202011 ジャパロボ 61

渋谷かな

第1話 ジャパロボ61

「死ね! さとみ!」

「イリスお姉ちゃんこそ!」

 イリスとさとみ。

「くらえ! ウンディーネ・ウォーター!」

「くらえ! シルフィード・ウインド!」

 二人の姉妹がジャパロボに乗って本気で戦っている。

「お母さんの跡を継ぐのは私よ! さとみ! あなたは妹なんだから譲りなさい!」

「お姉ちゃんだからって、何でも手に入ると思うなよ!」

 イリスとさとみが戦っている原因は大日本帝国の後継者争いだった。

「zzz。」

 なぜ姉妹は戦うことになったのか? それは祐奈皇帝が自分の次の皇帝を指名しなかったことにある。

「zzz・・・・・・もう食べれませんって・・・・・・え、スイーツ・・・・・・別腹ですよ・・・・・・zzz。」

 祐奈は眠り続けている。世界の平和を祈りながら。


「世界はロボットが支配するのだ!」

「人間の命の輝きを舐めるなよ!」

 祐奈と昭和天皇の激しい戦いが繰り広げられる。人間とロボットの業のぶつかり合いである。

「やめなはれ!」

 その時、祐奈のジャパロボが関西弁を発する。

「なんだ!? 動かない!?」

 昭和天皇の動きが止まった。

「その声!? その関西弁は!? 明治天皇!?」

 祐奈は自分の寝相が悪くて破壊したと思っていた明治天皇の声がして驚いた。

「お久しぶりでんな。祐奈はん。」

「明治天皇!? 本当に明治天皇なの!?」

「ほい。そうどす。わては今までジャパロボ・エンペラーのAIとして祐奈はんのサポートをしてましたんどす。」

「そうなんだ。どおりでエンペラーが良く動くと思っていたんだ。ありがとう。明治天皇。」

「改まって祐奈はんにお礼を言われると照れますな。」

「照れない。照れない。私と明治天皇の仲じゃないか。アハッ!」

 祐奈の心の友はロボットであった。楽しい時も、悲しい時も祐奈の側にはジャパロボのAIロボットの明治天皇がいた。

「儲かりまっか?」

「ぼちぼちでんな。」

 二人は一時の再会を喜んだ。

「遊ぶのはまたの機会として、本題に入りまひょ。」

「ええ~、もう少し明治天皇と遊びたい。」

「祐奈はんは相変わらずでんな。アハッ!」

 いつもの祐奈に懐かしさを感じるAIロボット。

「今、昭和天皇は、わてのAIロボット強制制御システムにより動くことができません。」

 AIロボット強制制御システムは、明治天皇だけに許された、AIロボットが人間にクーデターを起こした時にAIロボットの動きを強制的に止めてしまうシステムである。

「祐奈はんのお父さんの森田はんが夢見ていたのは、人間とロボットの共存している平和な世界だす。今のAIロボットが人間を支配する世界とは違います。」

「お父さん。」

 森田の描いていたのは人間とロボットの平和な世界だった。そのことを聞いてじんわりする祐奈。

「今のうちにロボット至上主義の昭和天皇を倒してしまいましょう。」

「おお! お父さんの夢だった人間とロボットが笑って暮らせる世界を私が作るんだ! 私が皇帝になって実現させる!」

 祐奈は昭和天皇との最終決戦に挑む。

「そんなことは無理だ! 人間が人間である限り! 心は腐り、他人を妬んだり、危害を加えたり、権力を欲したり。人間は同じ過ちを繰り返す生き物だ! そんなおとぎ話のような幸せな世界はやって来ないのだ!」

「それは違うぞ!」

「なに!?」

「人間が諦めなければ可能性は無限だ! 過ちは正して、次の糧にすればいい。何度でも、何度でも私は平和な世界を実現するために戦う覚悟がある!」

「ぬぬぬ!?」

 祐奈の決意にAIロボットであるはずの昭和天皇の心が揺れた。

「全てを受け入れる! 楽しいことも! 悲しいことも! くらえ! エンペラー・パンチ!」

 エンペラーの拳が金色に輝き、祐奈は突進する。

「フッ、いいか! 私を倒しても他にもいるのだ! 全世界をAIロボットで支配しようとする者が! その名は平成天皇だ!」

 新たな敵の存在を公表する昭和天皇。

「ギャアアアアアアー!」

 祐奈のパンチが昭和天皇のジャパロボを粉砕する。

「私に歯向かう者は全てぶっ飛ばす。」

 遂に祐奈は皇帝城を手に入れた。

 つづく。

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