202011 ジャパロボ 58

渋谷かな

第1話 ジャパロボ58

「決めた! 私は皇帝になる!」

 父の遺言通り、大日本帝国の皇帝になることを決めた祐奈。

「悪いAIロボットを倒さなくっちゃ!」

 世界を良い方向に導くために。

「イリス、チーム祐奈の全員に至急連絡して!」

「はい!」

「さとみも友達のすずちゃんに連絡して。」

「はい!」

 父、森田皇帝の死を知っているのは祐奈の家にいる祐奈とイリス、さとみの3人だけ。

「私は皇帝の玉座を取り行ってくる!」

 祐奈は外に飛び出す。

「エンペラー!? そうか。おまえには私の気持ちが伝わるのだな。」

 祐奈の自宅の前には祐奈専用ジャパロボのエンペラーが待機してあった。祐奈の感情を察して駆けつけたのだ。

(そうでんねん。)

 エンペラーのAIになった明治天皇の関西弁が聞こえてきそうだ。

「森田祐奈! エンペラー! 出る!」

 ジャパロボに乗り込んだ祐奈は皇帝城を目指して飛び立った。


「はい!? クーデター!?」

 麻衣は自分の耳を失った。

「私もお母さんの後を追います。じゃあ、後はみんなに伝えといてね。」

 イリスは伝言を麻衣に擦り付けた。

「いでよ! 水の精霊ウンディーネ・ジャパロボ!」

 どこからともなくイリスのジャパロボが姿を現す。

「お母さん! 無理しないでよ!」

 イリスも皇帝城へ向かった。


「今度の遠足はどこかな?」

「佐渡島で金山堀とかどう? 渋くない?」

「そうそうって。アアアアアー!?」

 無駄話をしていたさとみが肝心なことを思い出した。

「お母さんが大変なんだ!? カクカクシカジカで。」

「じゃあ、今度の遠足は皇帝城だね。祐奈さんを助けに行かなくっちゃ。アハッ!」

「一緒に行ってくれるの? すずちゃん。」

「当たり前でしょ。私たちは友達なんだから。さとみちゃんが困っていたら必ず助ける。それが友達でしょ。アハッ!」

「ありがとう。すずちゃん。」

 さとみとすずは友情を育んできた。

「いでよ! 風の精霊シルフィードのジャパロボ!」

「いでよ! 炎の精霊サラマンダーのジャパロボ!」

 さとみとすずは自分のジャパロボを呼び出すと乗り込んだ!

「いくよ! すずちゃん!」

「はい! さとみちゃん!」

 二人も祐奈が先行する皇帝城に向けて出発する。


「遂に最強の久美ちゃん・ジャパロボをお披露目する時がやって来ました! アハッ!」

 久美も自分のジャパロボで乗り込むつもりである。


「なに!? 祐奈教官が一人で皇帝城に乗り込んだ!? そんな無茶な!? 麻理子! 私たちも援護に出るぞ!」

「ええ!? ゆ、祐奈教官が皇帝になる!? ということは私たちはロイヤル・ジャパロボになるということ!?」

 優子と麻理子にも麻衣から連絡が入る。

「いでよ! 地の精霊ノーム・ジャパロボ!」

「って!? 私は代々木駐屯地まで行って自分のジャパロボを取って来なくっちゃ!?」

「先に行くぞ!」

 優子は皇帝城に。麻理子は代々木駐屯地に向かった。


「なんで私たちに連絡を?」

 反大日本帝国同盟ジャパカイダのリーダーみなみも麻衣から連絡が入った。

「なんでって、あなたもチーム祐奈の一員でしょうが。」

「あはん。テロリストなのに正義の味方になっちゃった。」

「じゃあ、よろしく。」

 麻衣との通信が終わる。

「やりましょう! みなみ様!」

「遂に我々の悲願が叶うんですね!」

「全世界のテロリストに電報を打ちますね!」

 敦子、まゆ、由紀は完全に3人で1組。

「大日本帝国を撃ち滅ぼすぞ!」

「おお!」

 みなみは姉の魂のAIを搭載しているジャパロボ・シスターに乗り込む。

「結子お姉ちゃん、滑稽だろ。人間が作りだしたロボットに支配されていたなんて。お姉ちゃんはいったい何のために死んだんだろうね?」

 問いかけても結子お姉ちゃんは答えてくれない。

「私の様に悲しむ人がいなくなるために。みなみ! 行きます!」

 悲しみを振り払うためにみなみは出撃する。

 つづく。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

202011 ジャパロボ 58 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る