このクズなら愛してあげられる

「謝れない」
「締め切りというプレッシャーに勝てない」
「他人から求められる努力ができない」

 これは、そんな葛藤を抱えたまま死んでしまった主人公が、異世界で今度こそ生きようとする物語。
 やりたいのにできない、これだから自分はクズなのだと自嘲しつつ、せめて自分が成せる「好きなこと」を続けたいと試行錯誤する、そんな人間味溢れる主人公のお話です。

 人生を新たに生きる為、プロローグが一番重いです。けれど胸が痛くなるほどの重圧に負け、続きを読まないのは本当に勿体ない。
 なにも成し遂げられないけれど、絵だけは描いていたい。そんな主人公がお手手を真っ黒にして知らない世界で生きていく姿が生々しく丁寧に描かれており、つい惹き込まれてしまいます。

 ぜひ、読んで欲しい。

 そして、できないことと折り合いをつけて、それでも自分らしくを貫く姿に心を震わせて欲しい。

 お約束します。
 これを読んで、後悔はしません。