第89話 エピローグ

「海菜! なんかアンチっぽい人増えたんだけど!?」


 宙音が私の部屋に入ってすぐに泣きついてきた。


「……有名税とおもってあきらめて」

「やだー! なんで!?」

「知らないって昨日の夜も言った」

「どうにかしてよ~……」

「無理」

「も~……なんでいきなり……」

「……まあ、それだけじゃないかもだけど」

「何かわかるの!? わかるなら教えて! 直すから!」

「うるさい」

「ご、ごめん……」


 なおせるならとっくに問題がなくなってるはず。


「大会の後の反省会」

「う……」

「よくもまあ……配信中にデレデレと」

「ち、違う! デレデレなんてしてないから!」

「そんなバレバレな嘘つかれても困る」

「してないもん!」

「配信見る?」

「イエケッコウデス……」

「大会の時は普通だったのになぜああなる?」

「そ、それは……」

「なに」

「えっと、そう! ゲームに集中してたから! いやー、『ばか×ろわ』面白いなー! 最高だなー! やっぱり『ばか×ろわ』は神ゲーだなー!!!」

「……」

「海菜?」

「……あっそ」



\\\



「そんな、悪いですよ」

「いいんです! これくらいは私達にさせてください!」

「そうだよー」


 初華さんと星那さんに連れられて、喫茶店にやってきていた。


「今日は海斗くんをねぎらうために来たんですから」

「いえ、たくさんいただきましたよ?」

「それはお弁当のおかずとかじゃないですか。それじゃ足りません」

「カイトー、こういう時くらい喜びなよー!」

「喜んでますよ? 初華さんと星那さんに祝ってもらえてとてもうれしいです」

「私ができるのはこれくらいなので……」

「まー、絶対自分のためでもあるよねー」

「星那?」


 目の前には特大のパフェ。

 前に3人で食べたものより2倍以上の。


「これ、本当に食べるんですよね……?」

「私が食べた中で一番おいしかったパフェです!」

「あ、あはは……」

「頼みこんだら、特別に大きいものを作ってくれました!」

「そ、そうなんですね……」


 お、多すぎますよ?


「やっぱり、そこまでですか?」

「そういうわけじゃ、えっと……嬉しいですよ?」

「そうですか!」


 星那さんの方を見ても、笑っているだけで助けてはくれないみたいだ。


「遠慮せず、全部食べてくださいね!」

「……3人で食べましょう? そっちのほうがおいしいですよ」

「そんな、遠慮しないでください。今日の主役は海斗くんなんですから」

「カイトありがとー! 私も食べたかったんだー!」


 星那さんがパフェにスプーンを突き刺した。


「いっただきまーす!」

「わ、わかったから! せめて一番は海斗くんでしょ!!」


 初華さんが、スプーンを口に運ぼうとする星那さんの手を掴んだ。


「海斗くん、星那に食べられる前に食べちゃってください!」

「もー! 食べようとしないってー! はい、カイト、あーん」


 顔の前にスプーンが突き出される。


「……」


 二人がそのまま俺をじっと見てくるので、


「い、いただきます……」


 スプーンを口に含む。

 口内に甘さが広がった。


「海斗くん」「カイト」




「おつかれさま(でした)!」







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クラスメイトに魂(中の人)バレした俺の話 皮以祝 @oue475869

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