第13話 草木萌動(そうもくめばえいずる)
2月最後の日。卒業式。
入校IDは返却したから、今日、学校から出たら、もう自由に出入りはできない。
最後の付箋を貼った。
『ゆいさん
今日は、卒業式でした(日曜日なのに!)。おかげさまで、なんとかここまで辿り着けました。来月15日からは、働くことになりました。不慣れなことが多いと思いますが、がんばります。灯台の灯りも、探し続けます。
明日からは、学校に自由に出入りできなくなります。付箋も、これが最後になると思います。いろいろ励ましていただいたり、ありがとうございました。
どうぞお元気で。りょうさんによろしくお伝えください。 はつみ』
***
17時25分、教室に到着。はつみさんの付箋を手にして、少しだけ笑みが漏れた。もう返事は書けない。だけど。
「
「へ? なに? なむし?」
「蛹が羽化して、蝶々になるんだ。3月15日にね」
「ふーん?」
これからきっと、たくさんのよいことがある。そうだといい―。
そう、心から思った。
FiN
往復書簡 昼←→夜 はがね @ukki_392
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます