第12話 款冬華(ふきのはなさく)

 10日ほどして、

『退院しました。ご心配おかけしてすみませんでした。』

 という、ゆいさんからの短い付箋を受け取った。よかったですね、お大事に―そんなありきたりな付箋を返して、それから後は、どんなことを書けばいいかわからなくて―、やり取りが途絶えた。


 周囲はすっかり、受験一色。試験日には学校に来ないと言うことも増えて、奈緒や三咲ちともあまり話ができていない。…でも、純粋に、がんばれ、と思える自分は、ちょっとだけ嬉しい。

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