第11話 水泉動(しみずあたたかをふくむ)

 冬休み明け初の、登校日(なぜか日曜日…)。机の中に付箋を見つけて、どきどきしながら剥がした。そこにあったのは、見知らぬ名前、見知らぬ筆跡。


『はつみさん

 はじめまして、ゆいさんのクラスメイトのりょうと言います。

 ゆいさんは、けがをして病院にいます。足と手の骨を折って、動けない。お返事もかけない。でも元気です。あなたが心配してるかもって心配してました。ゆいさんはだいじょうぶ。心配ないです。  りょう』


 りょうさん。クラスメイト。そうか、ゆいさんにもクラスメイトがいるんだ。当然なのに、なぜかそのことを考えていなかった自分に気が付いた。

 ゆいさんの代りに返事を書いてくれたらしい。でも、骨折って、仕事で? 本当にだいじょうぶなのかな? いろいろ頭を過るけれど、考えてもしかたがない。

 1枚の付箋に、“りょうさん”へのお礼の言葉とお願いを、もう1枚に、ゆいさんへのお見舞いの言葉を綴って机に残した。ちゃんと届けてもらえるといいんだけど。


        ***


 翌日。『りょうかい、とどけますよ!』という短い言葉の付箋があった。

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