202011 ジャパロボ チーム祐奈3-9

渋谷かな

第1話 チーム祐奈3-9

「そんな!? バカな!? 私は何の罪もない祐奈さんを恨んで、復讐だと思いジャパロボを奪おうとして結子お姉ちゃんを失ったというのか!?」

 憎しみの対象だった祐奈が復讐べき相手ではないと知ったみなみはショックで動揺していた。

「もう、あなたにも分かったはずよ。私たちに戦う理由はないのよ! 復讐するべき相手は祐奈教官じゃないわ! 本当に倒すべき敵がいるってことに!」

「本当に倒すべき敵は・・・・・・現大日本帝国の森田皇帝・・・・・・実の娘を世界征服の道具に利用した酷い男・・・・・・戦いを生み出す悪の権化。」

 みなみにも分かっていた。

「いつも寝ながら祐奈教官はお父さんを倒す機会を待っているのよ。」

「なに!? 実の父親を倒すというのか!?」

「そうよ! 祐奈教官は自分の父親が世界の人々に酷いことをしたと心を痛めているのよ。これ以上、悲しみの連鎖が続かないようにするには、圧倒的な武力で恐怖支配しているお父さんを倒すしかないと心を決めたのよ!」

「zzz。」

 こんな時でも祐奈は眠っている。

「みなみさん! あなたの力を貸してちょうだい! 世界から戦争を失くしたいという私たちの想いは同じはずよ!」

(どうする? この人達を・・・・・・祐奈さんを信じていいのか? もう一度だけ人を信じていいのか?)

 みなみの心は揺れ動く。姉を失った悲しみと憧れの人だった祐奈との間で。

「みなみさん! 私たちと一緒に戦いましょう!」

「それは無理です。」

 表情も目つきも雰囲気も一瞬で黒く変わってしまった。

「思いだけでは何もできない。力が無ければ。」

「みなみさん?」

「私は持っている。戦争を終わらせる力を!」

 その時、空から1体のジャパロボが現れる。

「きゃあ!? 何!?」

「なんだ!? あの見たこともないジャパロボは!?」

「お姉ちゃんだよ。このジャパロボのAIロボットには私の残留思念、思い出から抽出した結子お姉ちゃんなの。」

「なんですって!?」

「そんなことが可能なのか!?」

 みなみ専用ジャパロボ・AI結子お姉ちゃん搭載型である。性能は自衛隊でいえば05タイプ以上の性能は確実である。

「私には力がある。おまえたちなんかと・・・・・・う!? 痛い!? 頭が割れそうだ!?」

「どうした!? みなみの様子が変だ!?」

 みなみはジャパロボに吸収され、飛んでこの場から去っていく。

「採用! みなみちゃんは面白採用だ! アハッ!」

 その時、ジャパロボの飛び立つ大きな音で目が覚めた祐奈。

「・・・・・・。」

 冷たい目線を向ける麻衣と久美。

「どうしたの!? 私が何か悪いことをした? 私はただ寝ていただけだよ。祐奈、悪くないもん。おやすみなさい。」

「寝ないでくださいー!」

 相変わらずの祐奈であった。

 つづく。

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