202011 ジャパロボ チーム祐奈3-8

渋谷かな

第1話 チーム祐奈3-8

「すごいな! 眠り姫! 私、大きくなったら祐奈ちゃんみたいにジャパロボのパイロットになる!」

「ズルい!? 結子お姉ちゃん!? 祐奈ちゃんになるのは私よ!」

 これはみなみの亡くなった姉との幸せの記憶である。

「私、祐奈ちゃんファンクラブに入る!」

 そしてジャパロボに興味がある人間は誰しも、時の大スター祐奈に憧れるのであった。


「お父さん!? お母さん!?」

 大日本帝国が全世界に宣戦布告した。

「逃げろ! こっちに来るな! 結子! みなみ!」

 その時、日本国も諸外国の多少の反撃にあった。

「嫌-!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 建物が攻撃され、その瓦礫の下敷きになったみなみの両親は亡くなった。


「お腹空いた・・・・・・。」

 みなみと結子は両親を失い住むところも家賃が払えなくなり追い出されて路頭に迷う。

「どうしてみんな助けてくれないの? どうして大人は冷たいの?」

「・・・・・・。」

 妹のみなみの素朴な質問に答えることができない結子。地方公共団体の事務所に行っても、住所が無いからと最後のセーフティーネットの生活保護を断られた。

「こんな世界は嫌だ。私は死にたい。お父さんとお母さんがいる天国に行きたい! 天国では美味しい物をたくさん食べて、誰も私たちをいじめないんだよ! もうこんな世界は嫌だ!」

 孤児で難民となり公園で薄汚くホームレス生活を送っている前田姉妹。

「私、テロリストになる! 誰もこの歪んだ世界を変えてくれないのなら、自分で世界を変えるしかない!」

 餓死寸前の姉、結子は大切な家族の妹のみなみを食べさせるために、手を悪に染めることを決めた。

「万引き、ひったくり、食い逃げ、置き引き、何でもやってやる!」

「お姉ちゃん!? そんなことをしたら警察に捕まっちゃうよ!?」

「法律なんてものは、時の権力者が自分たちにとって都合の良いように好き勝手決めたものだ。私たちのような弱者のことは考えてないんだよ。この世の中のルールじゃ、私たちは救われない。」

 既得権益者が大嫌いになっている結子。

「嫌だよ!? 捕まったら私は一人ぼっちになっちゃうよ!? 結子お姉ちゃんがいないと私は生きていけないよ!?」

 姉が大好きなみなみであった。

「大丈夫。私は必ず帰って来るから。絶対にみなみを一人にはしないよ。」

「うん。結子お姉ちゃん大好き。」

 優しく微笑む結子とみなみ。


「待て!? 泥棒!?」

「捕まえて!? 万引きよ!?」

「金払え!? 食い逃げだ!?」

 生きるために窃盗を繰り返した結子。

「美味しいね。お姉ちゃん。」

「いっぱい食べろ。みなみ。たくさんあるぞ。」

 前田姉妹は健気に生きていく。

「みなみ、お姉ちゃんは立派なテロリストになってみせるぞ!」

「がんばって! 結子お姉ちゃん!」

 これが反大日本帝国同盟ジャパカイダの始まりであった。

 つづく。

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