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出来損ないの精霊の子

出来損ないの精霊の子

くれは

おすすめレビュー

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★★★
★89
31人が評価しました
本文あり
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本文ありのおすすめレビュー

  • つるよしの
    174件の
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    ★★★ Excellent!!!

    ひとりの「精霊の子」は自らの生を如何に受容するのか。

    独特なことばと地名に彩られた物語世界に、否応なく没入させられる冒頭。
    まずそれが心地よい。だが、その快感に酔っているうちに、
    一人称で語られているそれは、間違って人として生まれてきた緑の髪の子、
    ラー・ロウ(精霊の子)の物語なのだと知る。
    ラー・ロウは、精霊に戻ることもできる。
    それは新しい精霊の誕生でもあるが、人としての死でもある。
    それを選んだ「彼」と、それを選ばなかった「俺」。
    そこにはどんな差があるのか。どんな生の受容があるのか。
    美しい情景描写と、溢れ出る激情。
    それらに身を委ねて考えてみても、容易に答えは見つからない。
    だけど、それが良い。
    読み終わったあとの余韻は、
    人とまみえて生きる事を選んだラー・ロウの影が心に滲むかのようだ。

    • 2021年6月24日 10:22