第3話 デート

「え、姫本? 」


「え、天馬くん?なんで、ここに??」


「もしかして、AKANEなのか?」


「じゃあ、天馬くんがペガサスなの?」


「そうだよ。えっ〜ーと、どうする?」


「とりあえず、お弁当食べて欲しいかな。」


正直言うと、見知った人だった驚きと逆に安心した気持ちで、複雑な気持ちになっていたが、自分のために作ってきてくれたのだから弁当を食べようと思った。


「いつも料理の投稿見せてもらってるけど、1人で作ってるの?」


「うん、両親が普段、海外にいるから自分で作るしかないんだ。」


「へぇー、すごいねぇ。私は料理が好きで作ってるから、いつも見ててすごいなぁと思ってたんだよ。それで、自分が作った弁当も食べて欲しいなぁと思ったんだ。」


「直接会うのとか怖くなかったの?」


「うん、抵抗はあったけどね、ツイート見てたら、この人はほんとに料理が好きなんだなって伝わってきて、大丈夫だと思ったよ。」


「そっか。ありがとう」


「ねぇ、食べてくれる?」


「うん、頂こうかな!」


蓋を開けると、3色そぼろに、ハンバーグ、だし巻き玉子、きんぴらごぼうに、彩のあるサラダがあった。盛り付けも色付けもしっかりしていて、完璧だった。


「いただきます!」


ハンバーグを噛むと、肉汁が溢れてきて中の肉にしっかりと肉汁を閉じ込めれていた。だし巻き玉子は、絶妙な味付けで形も綺麗だった。俺は我を忘れるほど、がっついて食べていた。


「美味!ほんとに美味しいよ!」


「ありがとう!嬉しいなぁ。」


そう言って満点の笑顔で笑ったAKANEに不覚にもドキッとしてしまった。弁当を食べ終えて、学校での話や瞬の話をしていると、いつの間にか、夕方頃になっていた。


「これからどうする?」


「出来れば、料理を教えてもらいたんだけど、」


「え?どういうこと?」


「だから、夜ご飯一緒に作らない?」


「どこで?」


「天馬くん家で!」


いきなり、うちで晩ご飯を作るという話が出てきて焦ったが、彼女は本気で料理を学びたいという気持ちが、日頃のDMからもわかったから、ちゃんと向き合おうと思った。


「いいよ。じゃあ何作る?」


「いいの?やったー、じゃあ、ミルヒィーユがいいかぁ、、」


「分かった。」


その後、必要な材料を買いにスーパーに行き、帰って準備を始めた。


「あの、洗面所借りていいかなぁ?」


「いいよ〜、そこの角だから。」


その時、俺はミルヒィーユを作るのに必死になっていて忘れかけていたのだ。俺が朝風呂をして、そのまま服を脱ぎ捨てたままだったってことを、俺の家は風呂とトイレが一緒なのである。つまり、俺の下着は今、姫本に完全に見られそうになっているということである。


「待って、片付けてからにするから、、」


そして俺は扉を開けた。いや、開けない方がまだマシだった。俺が扉を開けた先には、下着姿でこちらを見て顔を真っ赤にしている姫本がいた。



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