第2話 出会い
AKANEさんから直接あって欲しいとDMがあった次の日、俺はいつも通り学校に行っていた。
「次の授業っ何?」
「知らん。」
この気だるげに答えた男こそ俺の唯一の友達とも言える、神本瞬である。いつもやる気がないが、顔がいいので、憎らしいくらい女子にもてるのであった。
「次は理科だけど、実験だから大教室に移動だよ!」
「めんどくせぇー」
「早くいかないと遅れちゃうよー」
「はぁ、、、、、、」
と明るく話に入り込んできたのは、瞬の幼なじみである姫本舞香である。まぁ、所謂美少女ってやつだ。その上、成績は常に学年上位、スポーツではテニスで全国出場と完璧と言っても過言ではない。そんなふたりが話しているととても絵になる。正直、周りからの視線を感じ、いつも居づらくなるのだが2人は全く気にしてない様子なのである。まぁ、その後、舞香に連れられて、授業をしっかりと受けた俺たちだったのだが、ふと瞬が、俺の方を見て、
「なんか悩んでることでもあるのか?」
と聞いてきた。
正直言ってとても驚いたが、瞬は俺のアカウントは知ってるし、相談するのにいいかと思い、
「俺、Twitterやってるじゃん、あの料理アカのやつ。」
「ああ、そうだな。」
「それで、昨日、もう3年以上やり取りしてきたフォロワーさんが、直接会って、弁当を食べて欲しいって言われてさ、どうしようかなって悩んでたんだよ。」
「その人は同じ県内にいるのか?」
「うん、それは前に聞いた時にいるって言ってたから、 で、多分同じ市内だと思う。」
「へぇ。で、会うかどうか悩んでるのか?」
「うん、まぁ性別とかいろいろ分からないし、でもいい人だとも思うし、どうしようかなと思って、」
「会ったらいいんじゃないの?3年以上やり取りしてきたのに、嫌いってことはないと思うから、弁当に何される訳でもないと思うし、お前のツイート見て、料理勉強してんなら、食ってやるべきじゃないか?」
「まぁ、そうだよな。会おうかな!」
「まぁ、美味かったかどうかだけでも教えてくれ。」
「分かった笑。」
俺のツイートを見て、料理の勉強してくれたのに、食べないのは失礼かなとも思い、俺は会うことに決めた。
家に帰って直ぐに、場所と時間を決めて、あっても良い旨を伝えると、直ぐに返信が来て、
「嬉しいです。弁当、期待しといてください❤️」
と返ってきた。明日は土曜日で、天気も良かったので、明日の12時に咲香公園で待ち合わせることにした。
正直、不安もあったが、何より楽しみで仕方がなかった。なぜなら、自分のツイートで、しっかりと料理を勉強してくれてる人が自分に弁当を作ってくれるなんて、感動的だったからだ。
その日の夜はあまり、寝付けなくて朝は少し起きるのが遅かった。
次の日、服装をしっかり整え、髪もバッチリセットして、朝ごはんをツイートしながら、準備を整えた。それから、時間が来たので、公園に向かった。
「思ったより、早くついてしまった。」
余裕を持って家を出たため、予定の12時より30分も早く、公園に着くことが出来た。
「さすがにまだ、来てないよな。」
と思い、辺りを見渡してみると時計台の下に小さなバックを持ち、赤いスカートをはいた女性がたっていた。DMで教えられた特徴にとてもよく似ていたことで、俺の心臓はバクバクと張り裂けそうなくらい緊張していた。
「あの、AKANEさんですか?」
「はい、AKANEです。今日はありがとうございます。」
「いえいえ!こちらこそ、わざわざ弁当を作ってくださりありがとぅ、、、」
俺は礼をした彼女が頭を上げ、その顔が顕になった瞬間、言葉が出なくなった。
なぜなら、AKANEは瞬の幼なじみこと、あの姫本舞香であった。
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