異常者
私の言葉は意味がない。
だれの心に届けようとも思っていないから。
私が欲しているのはただ同情してもらうこと。
私が書いた小説を読んでくれた知人は、私の小説を駄々っ子ブンガクといった。
まったくもってそのとおり。
ぐうの音も出ないや。
うまいこというなと思った。
はなから他人に伝えようともしていない言葉の羅列。
ただ私のどうにもならない声をどうにかするための手段でしかない。
生き物を道具のように扱っているんだ。
そりゃあ誰の心にも響かないさ。
なのにいっちょ前に、或いは建前上、いいものを作りたいと豪語する。
自分を天才だと言ってしまえる知人を見て嫉妬する。
その自称天才から褒められる知人に嫉妬する。
どうすれば私は私の言葉を人に伝えることができるようになるだろうか。
空っぽのままじゃ何も伝えられないか。
私はここだよって。誰に伝えることもできないか。
誰の心にも居場所をつくる事はかなわないか。
私の言葉は無意味である。
ただの独り言に過ぎない言葉に魂が宿るわけもなく、誰かの居場所になれるわけもない。
私はきっと同士を見つけたいだけなのだ。
そしてこの苦しみを分かち合いたいだけなのだ。
だから母には嫌な顔をされる。
私という異常者が下等な文章を書いているからだ。
私の言葉は無意味である。私の言葉は無意味である。私の言葉は無意味である。
そう自分に言い聞かせて呪いをかける。
今日もまたまともを装えるように。
今日もまた自分に絶望しないように。
今日もまた生きるために。
呪いをかける。
私の言葉は無意味だと。
気持ちの欠片 日景の餅小豆 @hikage-1103
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