後日談③
今日は朝から気分がよい。
それは体育の授業で持久走が始まったからだろう。
みんなが持久走がめんどくさい、とか思うのと反対に、私はものすごく楽しみにしているタイプだ。好きなスポーツトップ3に入るくらいには好きだと思う。
しかし走りたかった距離を走ることはできなかった。まあ、初日からノルマの2.5倍の距離を走ろうなど無理があったと今になって思う。
一応ノルマの2倍の距離を走ってやったが。
今は普段使わない筋肉を使ったことによる筋肉痛で痛む足を動かしながらいつものように図書室へ向かっていた。
手には売店で買ったレモンティーを抱えるように持っている。
その途中、屋上の側を通りかかった。
……もはや恒例になっているな。
そこにはもう、蜘蛛の死骸は無くなっていた。
この前少し触ってしまったからだろうな。
かろうじて位置が分かるのは、乾いた体液だったらしきものがそこに小さくへばりついているからだ。
空を見上げる。
蜘蛛が生きていたときのような快晴が広がっていた。
そのとき、少し風が吹き、私の髪を揺らした。
さすがは冬。
手に持つレモンティーが暖かい。
「また会えたらいいですね」
また何とも思わず殺してしまうと思うけど。
「あー……寒いなぁ……」
私は早々に踵を返し、暖房がかかって暖かいであろう図書室へ足を向けた。
明日の月は綺麗でした 陰陽由実 @tukisizukusakura
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