初出・参考
本作は、2010年5月発行の文芸誌『DtD』(主催:企画屋GO-DA様)に「竹中針恵」名義で寄稿した作品に加筆修正したものです。
主要な題材は「登竜門」の故事と李白の死に関する伝説(水中の月をつかもうとして溺死)ですが、かなり自由に大法螺を吹いております。
日本では「鯉の滝登り」として有名な登竜門ですが、辞書のたぐいでは「急流」とあるだけで滝とは書かれていません。本作では「作中に『竜門』という地名を使わなければ実際の竜門と違っていてもOK」というスタンスで描写しております。
作中の李白の人柄に関しては、高島俊男『李白と杜甫』(講談社学術文庫)および「ネアカ李白とネクラ杜甫」(文春文庫『本が好き、悪口言うのはもっと好き』所収)に大きく寄っていることを、深い敬意と感謝を込めて付記いたします。
キャッチコピーの「一杯一杯復一杯」と本文中の台詞「おれは寝る」は、これも李白の詩『山中にて幽人と対酌す』から取りました。以下、書き下し。
両人対酌して山花開く
一杯一杯復た一杯
我酔うて眠らんと欲す 卿〈きみ〉しばらく去れ
明朝意あらば琴を抱いて来たれ
太白 二里 @2li
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