202010 ジャパロボ 29

渋谷かな

第1話 ジャパロボ29

「それでは第1回戦第1試合を行います! 関東対四国です! それでは始めてください!」

 いよいよ全国ジャパロボ大会の戦いが始まった。ルールは簡単、地方と地方のサバイバル戦である。

「でも、それっておかしくない?」

「どうしたの? さとみちゃん。」

「私たち関東代表は東京都が5人と他の6都道府県を足して、11人もいるんだよ。それに対して四国さんは4人しかいないんだよ。これっていじめなんじゃない?」

「さとみちゃん、なんていい子なのかしら。うるうる。」

 さとみは意外にも道徳心の強い子だった。

「大丈夫! 東京都代表の私たちが動かなければ6対4。そこまで酷い差じゃないわ。」

「さすがイリスお姉ちゃん!」

「それに全国のジャパロボの出場者を見ても、なんか、地方の地元アピールばっかりで全然強そうなジャパロボもいないんだけど。全国ジャパロボ大会は地方のアピール合戦の場じゃないんだぞ!」

 確かに面白ジャパロボばかりであった。

「ということでさとみ。すずちゃん。私たちは寝るぞ。」

「おお!」

 さとみたちは寝ることにした。

「あの・・・・・・それがダメみたいです。」

 そこに麻理子が現れる。

「どうしたんですか? 麻理子さん。」

「実は・・・・・・うちの優子が真っ先に迎撃に出撃してしまいました。」

「なんですって!?」

 優子は撃墜王の称号を獲得するために先陣をきって飛び出していった。

「でも大丈夫です。」

「え?」

「うちも私以外は寝てますから。」

「zzz。」

「zzz。」

 さとみとイリスは瞬時に眠りについていた。

「・・・・・・あはははは。」

 言葉を失う麻理子。

「麻理子先輩、お茶でも飲みますか?」

「ありがとう。麻理子でいいわよ。」

「ダメですよ。麻理子さんの方が年上なんですから。見事に優勝して無事に高校生を卒業してください!」

「そ、そう。すずちゃん。がんばって優勝しようね。」

 すずと麻理子に絆が芽生え始める。

「はい。ちなみに、ここで寝ているさとみちゃんとイリスさんのジャパロボを破壊してしまえば、麻理子さんの優勝はほぼ確実ですよ。やっちゃいますか?」

 時にすずは友達のさとみを裏切ることもある。

「クスクスクスクス。すずちゃんって面白い子ね。」

「はい。よく言われます。」

「ワッハッハー!」

 仲良くすずと麻理子が笑っている。

「ピピー! ピピー!」

 その時、談笑しているのと寝ているのとで無線が鳴っていることに誰も気づかなかった。

「なんであいつら!? 誰も無線に出ないんだよ!? こいつらヤバいんだけど!?」

 無線は優子からのSOSであった。

 つづく。

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