社会から溢れ落ちた人々の足掻き、自尊心と主体性を持って生きること

 誰かから期待をかけられること、自分が社会の役に立ち繋がりを持っていることを確認すること。それは人の心を満たす行為で、社会を成り立たせる仕組みの一部。
 その一方で、社会からの承認を人質に、自分をすり減らす生き方を押し付ける場のなんと多いことか。
 「頭を撫でて褒めてもらう」というただそれだけを対価に莫大な力を振るい、その末路として衰弱するまで戦い魔王に侵食される女神たち。
 誰からも期待されず、死んでも再生するからと碌な物資も持たずに死地に放り込まれる犯罪者の集団である勇者たち。
 正反対なようでいて、歪な自己犠牲を求められているその問題の根は何処かで繋がっているように思えます。

 「いや再生されるからって死にたくないに決まっているだろ!」とばかりにあらゆる非正規な手段を用いて泥臭く生き延びる一方で、時にその場の勢いで他人の命や信念のため、保身とは真逆の頭のおかしい自爆戦法をとってしまう勇者たち。
 不自由な環境の中で、自分の心や体をどう使うのか自分で選び自分で決めていく姿に共感と憧れを抱きます。

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