第7話 通う気持ち

side.saku





もう夕方じゃん…


京司出てったきり帰ってこない

もう3時間は過ぎた。




スマホも持っていかないで何してんだろう

大丈夫かな…

帰れなくなったりしてないかな…

…事故とか、、。





段々と心配になってきて、

ありえないとか思ってても嫌な方向にばっか思考が進んでしまう。





寝室にいてもリビングにいても、

落ち着かなくて

ブランケットもってとうとう玄関前にまで来てしまった。





「もう…かえってきてよぉー……」




胸騒ぎを抑えるように

壁にもたれ、うずくまる。


待つしかないもんな…







ガチャ




静かだった室内に急にドアが開く音がして、

思わずびくっと肩がゆれた。



驚いたのは相手も同じだったようで




「うわっ、えっ…さく?

なにしてんねん!」






ああ、帰ってきた…


だめだぁ、安心してまた溢れそう…





京司でかい目ぇまん丸にして固まってるし、

そりゃ、こんなとこいたら驚くか笑





「うー…きょうじっ

どこ、いってたん?」




涙声なの自分でもわかる。


京司眉間にしわ寄ってるよ、

あんな態度やっぱイラついたよな…




「…おれ、ごめ、、、」



謝罪を遮るように京司が口を開く


しゃがんで、ちゃんとおれの目見てくれてる。




「っああ、買物!

おなかへっちゃってん、

夕飯、鍋くらいなら俺もつくれるかなーと思って材料を…な!」





そう言って、買い物袋を見せてくる。

逆の手には白い真四角の箱。





「さくの好きなケーキもあんで!」





にこって笑う京司、

ずるいんだよ…俺の拗ねた理由分かってくれてなくても、こんな…許してしまう。



もっと好きになってしまう。






「俺さ、なんもしとらんかったな。

さくにぜんぶ甘えてた。


腹へって、食いもんでてくるのがいつのまにか普通になってたわ…


いつも、さくが用意してくれてたから、こんなん子どもと一緒やね…


気付かなくて、ごめん!!」




真面目な顔して、膝に手あてて

勢いよく頭を振り下ろす京司。






…わかって、、くれたんだ。






「俺も、ごめん、、

話しもしないで、怒って。


…一緒に暮らさなければよかったなんて、思ったこともないから」





「あれはさすがにショックやった笑」




「ごめん……、あのさ

ぎゅーってしてくれる?」




ショックやったって、微笑む京司が愛しくて…

ちょっと甘えたくなった。




ふふって笑って


「仲直りのぎゅーやな!」


って

抱きしめてくれた腕がいつもよりちょっと優しくて



気持ちぶつけることも大事だな



なんて思った。


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ふたりの部屋 倉石ゆら @nightingale-7

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