第6話 恋の相談役

side.kyoji




扉の前から話しかけても応答してもらえん

俺は、どうすることもできひん





俺がさくに甘えまくってなんもせんかったから、さくが怒ってるんだと思うんやけど…




やっぱり、無視するさくにはちょっと

むしゃくしゃしてしまう






そーだ、とりあえず葵のとこいこ


なんか案もくれるやろ


葵は大学入ってから仲良くなったやつなんやけど、まあモテる。

バスケサークルで知りあった頃には、もう有名で

190cmはある身長とちょっと可愛いらしいベビーフェイスってやつ?

女にはたまらんわな。

俺も身長は180cm後半やから、ふたりで並んで

しゃべっとるだけでキャーキャー言われておもろかった。


さくと出会ってから俺にはその黄色い声は関係なくなったけど、葵にとってはやっぱり嬉しいものらしく、狙った女の子をおとすために呼び出されることもしばしば…



そんなこんなで仲良くなった葵とは、

なんやウマが合うってやつなんかなんでも話せた。

さくを恋愛対象で見てしまうって相談したときだって、あいつは難しい顔1つしないで

うじうじ悩んでた俺の背中を押し続けてくれた。


基本いいヤツなんよ。

で、今葵んち





俺の今置かれた状況を分かってもらえるように話してみると


「うわーー、咲久ちゃんかわいそっ!

そんなんやってたら、愛想尽かされんぞ!

おれだったら絶対泣かせない自信あるけどなー」




一部始終話したとこで、にやにやしながら言うとる


やっぱ、俺があかんかったみたい

葵にまで言われるとちょっとへこむ





「そんで? 京司はどうすんの?」




「どーするもこーするもなー、

さくに愛想尽かされたら俺生きてかれへん…」





「そーぢゃなくて!笑

どうやって仲直りするのって話!

いまきっと、京司より咲久ちゃんのほうが傷ついてんぢゃないの?」




「そーやった…。だーー!

俺、どーしたらええんやろ。話きいてもらえへんねんで?」




「言葉がだめなら、行動に表すしかないだろ!

京司、言葉うまくないんだからさ」





たしかに俺は、言葉がたらんとか

説明上手くないとか言われる…


まあ、そこはちょっと置いといて…


葵にそこまで言われてやっと気付く






そうか、行動…




「よし!そしたら俺、さくに夕飯つくるわ!」


「えらい!え、料理できるっけ?笑」


「鍋くらいならいけるやろ!今日寒いし、ちょーどええわ!ちょっとググろー」





って、何鍋にしよーか

調べようと思ったらスマホがない…

おろおろ、探していると





「あー、もうまたスマホ忘れてきたんだろ!

京司、道迷うのにスーパー行けるん?

いや、もう送るわ!」




葵、かっこいい

こういうとこがモテるんやろな…





って、やば、

葵としゃべってたらもう

家出てからもう2時間になる!

はよ帰らんと、さくになんも言うてないのに





葵とスーパー行って、鍋の材料買って

家まで送り届けてもらった




葵の案で、さくの好きなお店でケーキも買った!

お詫びのしるしや!




さく…何してるんやろ


話、聞いてくれるんかなー…








葵にお礼いって、ドキドキしながら

我が家の鍵をあける




ガチャ





「うわっ、えっ…さく?

なにしてんねん!」




目に飛び込んできたのは、

もふもふの塊…





いや、スマホ片手にブランケットに包まったさく



うるうるさせて見上げてくる

…あざとい、かわいい

ちゅーしたい…




いや、ちゃうわ

いま俺反省せなあかん立場やん。



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