第7話 へパ氏の企画「お題!あなたの『三種の神器』について、語ってください!」への回答
なかなかに興味深い企画であるが、まず思い浮かぶのは通潤酒造は純米原酒の「山頭火」である。一升瓶のみでの取り扱いであるが、その粗削りな野趣溢れる味は他の追随を許さない。古来ゆかしき在り方に、山の恵みがいかようなものかを思い知らされつつ、それで魚の干物などをやるのが至上の愉しみである。そして、何といっても記された俳句の味わいがその魅力を高めてい、三十路寡の虚しさと現代社会という砂漠に在ってその後ろ姿が調和している。
次なる神器はパソコンであり、これ無くして私の生活は成り立たない。情報を集め動画などを視聴するという受け手としての媒体であると同時に、創作活動に欠かせぬ友でもある。現在は二台を併用しており、旅先では荷物になることを承知でノートパソコンを用いている。スマホでも現在では代替がある程度まで利くのではあるが、やはりこちらは受け身となりがちとなる。
そして、最後の神器は自動車であり、マツダのデミオを今は愛用している。左の方に擦り傷があるのはご愛敬であるが、五速ミッションで山道も海沿いも駆け抜けることが可能だ。無論、普段は通勤に使っているのだが、そのために愚痴の聞き役ともなってくれている。旅先ともなれば同乗者もいないことから、様々な風景を共に楽しむ仲間となる。酒を共に酌み交わすことはできないが、最近ではお気に入りのガソリンスタンドができたようである。
以上の三つが私にとっての三種の神器であるが、果たしてこれが私に何を与えてくれるのだろうか。そもそもの神器は天皇家に伝わる由緒正しいものであったのだが、今ではそのような意味合いも失われて言葉が歩くようになった。ただ、登位の際に出てくるそれらの宝を帯びて、やはり今上天皇はそこに姿を現される。ならば、これらの欠くべからざる私の神器もまた、卑しくも似たような意味を持つのかもしれない。向こうには迷惑な話なのかもしれない、が。
「質問に答えてみた企画」への回答 鶴崎 和明(つるさき かずあき) @Kazuaki_Tsuru
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