観測者の視点
仲仁へび(旧:離久)
第1話
世界から世界へ転生させた、一人の男性。
私は、何の変哲もない、ありふれた見た目の男性を見つめている。
この私は多くの者達から神、と呼ばれる存在であるが、万能ではない。
できる事は小さな事だけだ。
神の力で、数多の魂を導く事と、そして神の力の一部を授ける事。
この私は、先の男性を転生させる時、時を戻る能力をさずけた。
私の視線の先では、異世界に転生したの男性がいる。
能力を駆使して、様々な場所で、様々な行いをし、様々な者と関わっている。
彼は、その能力を理解し、利用しつくしていた。
その姿に、かつての友人の姿が重なる。
神であるこの私には、その昔友人がいた。
その時の私は、神ではなく、ただの人間だったため、彼の悩みに気づけなかった。
彼は、その身に時を戻す力を宿していた。
だから、いつも見えない場所で苦悩していた。
私がそれに気づいたのは、彼が全てを救いきった後。
代償に、彼の全てが消えてしまった後だった。
この私は、そんな彼の気持ちが分からなかった。
自分と引き換えに、いったい何を得ようとしたのか。
だから、それを知るために、神となった私は様々な人間を転生させて、力を授けて観察していた。
今も目の前で、一人の男が少女を救う。
その行為に至るまでに、何度彼が苦渋をなめ、心と体に傷を負ったか。誰も気が付いていないというのに。
私はそれからも、その男性を観察し続けるだろう。
いつか、彼らの心を理解するその時まで。
観測者の視点 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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