エピローグ

 あの日、郁斗と実樹は口論の末、暴力に発展した。


 郁斗は実樹に、何をするつもりなのか、鞄の中を見せろ、としつこく詰め寄った結果、気の強い性格の実樹は郁斗に掴みかかった。それに腹を立て、郁斗は実樹を殴ったのだ。

 実樹は倒れた拍子に足を捻挫し、大会への出場を断念することになった。


 まさか、ここまで上手くいくなんて。

 SNS画面を見つめ、笑みが溢れる。『X』のアカウントはもう消した。あとは、郁斗の責任になるだろう。


 最初は郁斗を利用して、欲しいものを手に入れるために始めたことだった。

 あまりにも上手く信じてくれたから、更なるいたずら心が芽生えた。このアカウントを実樹に見せかけ、トラブルにでも発展させて、動揺させてやろう、と。

 でも、大会の出場すら止めてくれたなんて。


「斉藤さん、次です。」


 名前を呼ぶ声がした。

「はい。」

 夕子はスマホを鞄にしまい、立ち上がると、大会の舞台へと歩き出した。

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アイ・ビリーヴ・イン 宮本南 @m_m_nan

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