反撃

 18時7分。僕は『X』の指示通り、夕子を屋上に連れてきた。部室を訪ねた時点では、中には夕子しかいなかった。

「どうしたの?もう遅い時間だけど、言いたいことって。」

 夕子は不思議そうに尋ねる。しかし、僕の心は荒立っていた。

「郁斗くん?」

「ごめん、夕子。ちょっと待ってて。」

 そう言うと、僕は一目散に部室へと走った。


 18時頃、夕子を部室から連れ出す。その隙に、西江は部室で何かをしようとしている。大方、夕子の持ち物か何かを使い、再び嫌がらせをして、大会直前に夕子を惑わそうとしているのだ。

 僕は作戦を立てていた。助言を聞き入れた振りをして、18時頃に夕子と屋上に向かう。

 しかし、すぐに部室に引き返すのだ。そこに西江がいるに違いない。そこで、西江を問い詰めてやる。何としても、『X』の正体を暴き、西江の嫌がらせを止めてやる。

 僕が、夕子を守るのだ。


 階段を降り廊下を走ると、奥にダンス部の部室が見えた。ドアは閉まっているが、電気は点いている。僕は全力で走り、部室のドアを開けた。


 そこには、予想通り、西江がいた。


「は、原田?夕子を知らない?私、夕子に呼ばれて・・・」

「西江、お前、何してんだ!」


 絶対に逃がさない。ここで西江の悪だくみを止めてやる。


 最後に勝つのはお前じゃない。夕子と、僕だ。

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