第10話 メリクルスの真の姿

 小太郎は、一人寂しく廊下を歩いていた。


 無許可でコーヒー牛乳を飲んだ罪悪感に苛まれながら。


 『部屋にメリィがいたらなんて言おう。』


 部屋までの廊下は長く、人っ子一人遭遇エンカウントしない。


 レッドカーペットの敷かれた廊下を歩く足音だけが響く。


 どことなく不気味だ。


 もう少しの我慢。


 着いた。


 ゆっくり深呼吸してドアノブに手をかける。


 両手で頬を叩き覚悟を決めた。


 『あぁ〜、いい湯だったな〜。

ん?誰もいない。』


 部屋には誰一人いない。


 しかし、よく見るとテーブルに何かある。


 「話がある。地図にあるとこまで来て」


  机には置き手紙メモと簡易地図があった。


 『いやっ、短文過ぎないっ…怒ってる?!』


 小太郎は慌てて部屋を抜け出した。


 簡易地図の内容は大雑把で、理解しづらかった。


 多分、遠回りしたと思う。


 この館は広大な上に、部屋数が異常だ。

しかし、どの部屋の扉にも名札が付いていた。

 そして、一部屋だけ光が漏れ出ている。


 『ってここか。』


 漢字のない幼稚な表記のあるとびら。

間違い無いだろう。


あの独特な語頭の濁る声も室内から聞こえて来る。


 『俺、なんて言われるんだろ。』


 本日二度目の覚悟を決めた。

 意外と二度目は呆気なかった。

 どうせ怒られるのだからと。


 『失礼しまぁす…げっ。』


 部屋に入って早々驚いた。


 部屋の入り口付近に、腕組をしたメリィとあの金髪少年が待ち構えていた。


 それだけじゃない。


 部屋全体が真っ白で何も無かった。


 「遅い!」


 『ごめん。』


 「迷ってたの?・・・まぁ、いいわよ。」

メリィは意外にあっさり許した。


 『なにここっ…部屋?』


 「部屋っていうか…試験場よ。」 

メリィは軽い口調で言った。


 「やーい!ヒヤクどろぼぉー。」 

金髪少年はこちらに舌を向けている。


 『本当に悪気はなかったんだ…許してくれ!』


 小太郎がメリィに向かって頭を下げた。

しかし、彼女は無表情でピクリとも動かない。


 「いやっ、あれ別に飲んで良いやつなんだけどねっ。」


 「ねぇちゃん、それいったらダメじゃん、つまんねぇ。」


 『はぁ?!』


 金髪少年は睨んでいる。


 何か都合の悪いことでもあるのだろうか。


 「ダル。あなた、ご主人様にしっかり伝えたの?」


 「いやっ…そのぉ。」

 金髪少年ダルは、黙り込んだ。

さっきまでの威勢の良さはない。


 「もしかしてダル、また悪戯いたづら?」


 「しらねぇ〜。」


 小太郎はため息をついて、怒ることなくダルの肩を優しく撫でた。


 『全く、悪戯で良かった〜。』


 「ダル、謝りなさい。」


 「ご…ごめんなさい。」


 ダルは反省したようで、深々と俯いている。


 ところで、メリクルスの姿が見当たらない。

嵐の前の静かさなのだろうか。


 「んブレスきゅん。さっきぶりぃっ。」


 『上にいたの…って誰?』


 メリクルスは銭湯で見た姿ではない。


まるで、三十代のOLお姉さんだ。


幼女から大人の女性になったのだろうか。


 それにしても、スカートの中が見える。


 だけではない。


 徐々に下降してきているので、不可抗力だ。


 メリクルスは宙に浮いている。


 見てはないけど。


 「んさぁ…ブレスきゅん。

実験開始ショータイムだよぉん。」


 『何それ。』



 メリクルスは口元こそ緩んでいるが、目は笑っていない。


 次の瞬間、メリクルスから黒い影が出現した。

 

 『ステータス。』


 小太郎は咄嗟にメリクルスの正体について確認した。


 ---------------

 <ステータス>

<名前> メリクルス・ベリー

<性別> 女性

<性格> 大人しい

<種族> 人間ヒューマン

<知性> LV.10

<器用さ> LV.10

<魔力> LV.?

<好感度>LV.?

<攻略難易度>LV.SSS

 史上最強の賢者で、最恐の魔女。

 ??????????????

?#&rkvevtmalnjjjt?!?


---------------


 『何だよ…最強最恐って。

しかも以下の文バグってるし。』


 「んいくよん…ブレスきゅん!」


 メリクルスを覆っていた影が小太郎を襲った。


 『アァァァァァァァァ!』



 

 

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BLESS〜アラフォー男子は、異種族美少女たちと契約して世直しする!〜 いろ蓮 @yamai-nakabu

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