分岐点を過ぎた背後から問う人

@blanetnoir



ひとは、迷う。


だから正解か、不正解かではなく、

好きで、愛するものを選んで行く。


その先に出会うものを、愛して、

また来る分岐先を、好きで、愛するものを選んで進んでいけば、

出会うものの中で最愛の存在に、きっと出会う。


形を望むのでなく、

ストーリーを望むのでなく、


自分がそれを愛しているか、


その二択で選択をする。


そうして旅を続けていく。




分岐点の前で立ち止まった時は、

そう考えて進む方を選んで生きてきた。




「それで、貴方は今最愛を手にしているの?」




かつて選ばなかった選択肢の先に居たかもしれない人が笑う。


「こちらに来なくて、後悔してない?」




貴方を、

愛していなかった訳じゃなかった。




寧ろ、大切な存在だった。




ただ、私は一人しかいなくて、


道は、一筋しか選べないから。





こうして

割り切って選択してきたはずだったけれど、




それでも時にこうして、

不意に私の背後に現れる、

選択しなかった“誰か”の姿が

今の私に問いかける。




今も、あの頃のように、最愛を選べているのかと。




最愛を選ぶ覚悟で生きているのかと。





あの頃、





涙を流しながら考え抜いたはずの選択が

本当に今のあなたが正解だったと思えているのかと、

笑顔で問いかけてくる。





「、」






口を開きかけて、言葉をとめた。






(今更、時間を巻き戻すことなんて出来ないでしょ。)





この言葉を口にしたら最後、

それは“後悔している”、

あるいは“今に納得出来ていない”という意味になるから。





いいざした言葉を体の中におさめて、

息を吐く。





次に繋ぐ言葉を探して、






私たちの間に沈黙が流れた。

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