202010 ジャパロボ チーム祐奈 4

渋谷かな

第1話 チーム祐奈4

「東京都代表の2人目が、石原すず。」

 全国ジャパロボ大会に向けて東京予選の報告かいが続く。

「zzz。」

 いつものように寝る祐奈。

「祐奈教官を起こすのをやめるっていうのはどう?」

「そうだね。寝かしておいてあげよう。お疲れだし。」

「その方が会議が進んでいいんじゃないか。」

 麻衣、優子、久美の三人の意見が一致した。

「どうして起こしてくれないの!? そこはツッコんでくれないと困る!? 祐奈、寂しい!?」

「狸寝入りだったのか・・・・・・。」

 こんな掴みもOK。

「すずちゃんはさとみの同級生だ。本当に良い子なんだ。私に飴玉をくれる。」

「飼いならされてますね。」

「ワン。」

 教官になっても祐奈は祐奈だった。

「でも、このすずって子も正体不明の赤いジャパロボに乗ってます。こんな機体は初めてだ!? さとみちゃんと同タイプのようですが!? ブェラーリ? ランホルギーニ? いったいどこのジャパロボだ!?」

 メカニックの久美は興味津々で目が輝く。

「まさか!? うちの祐奈を夜遊びの道に引きづり込んだのはすずちゃん!? 新しいジャパロボが欲しいばっかりに二人で汚いおじさんの相手をしているなんて!? やめてくれ!? 援助交際何て!?」

「ダメだ。この人。娘のことになると国民的英雄さが全くない。」

「親バカですね~。」

 麻衣と優子は白い目で祐奈を見る。

「東京都代表の3人目。前回の全国ジャパロボ大会の準優勝者、広瀬イリスです。」

「うちの長女です! スゴイでしょ! 全国ジャパロボ大会で2位ですよ! やっぱり高校で三連覇した私の血を引き継いでいるんですよ! ワッハッハー!」

 自画自賛の祐奈。

「イリスちゃんも、さとみちゃん、すずちゃん同様に青い正体不明のジャパロボに搭乗しているんですが、どこで手に入れたんでしょうね? 祐奈教官。二人の娘のお母さんなら当然、知ってますよね?」

「し、知っているわよ!? 二人は駄菓子屋で一番くじを引いて新しいジャパロボを当てたのよ!?」

 そんな一番くじは売っていない。

「知りません。私、嘘を吐いておりました。ウエ~ン! 私は母親失格だ!? 思春期の娘二人が母親の私に秘密を持っているなんて!? ショック!? きっと悪い男に引っかかったんだわ!? それで脅されているのよ!? きっとそうに違いない!?」

 相変わらず狂喜乱舞する祐奈。

「娘さんに聞いてみたらいいんじゃないですか? どうやって新しいジャパロボを手に入れたのか?」

「久美ちゃん、偉い! その手があったか! アハッ!」

「この人はいったい!?」

 3人の冷たい視線が祐奈に突き刺さる。

 つづく。

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