「性根の曲がった人間が食べると、真っ直ぐな人間に生まれ変わる」という美しい実……その実を食べると確かに人間が変わる……凄く怖いお話しなのに、どうしよう?魅入られてしまった。 その実が欲しいと思うのは私だけ?是非ともお読み頂いてご判断下さいませ。
悪夢のような毎日を過ごす少女・咲は、ある日本当に夢のような不思議な体験をする。人の性根を暴き出すような、秘密の木の実。その木に関わることで、咲の周囲も、咲自身も運命を大きく動かされていく。やがて、咲はかつての彼女からは考えられないような感情に支配されるように…。人の感情の恐ろしさをじっくりと綴る短編です。この後味の悪さ、これこそがホラー!
普段ホラーはあまり読まないのだが、ホラーが苦手な著者が「必死に書いた」というので興味がわいた。ホラー好きにも、ホラー嫌いにもちょうど「よい」ホラーだと思う。前半は分かりやすい「人間の怖さ」が描かれていたが、後半は実にユニーク(個性的)な「怖さ」が展開される。何処かで見たようなことのある、既視感は一切ない。ラストに落ち着いてしまう前、思い乱れる主人公の描写にも説得力があった。著者の新境地が読めるので、お勧めだ。
主人公はいじめに悩む中学生の女の子。人間の心の原動力が、復讐の果実を爆ぜさせるような心象です。性根の曲がった人間が真っ直ぐに生まれ変わる木の実。実の成る樹を守る老婆が少女に打ち明ける秘密。正当な防衛本能で開かせた実を腐らせないように管理できる強さを、主人公の少女は持っているのかもしれません。木の実の生命力と少女の生命力が伝わる一編です。読み手によって感想が様々に分かれるように思われます。多義的な解釈が可能な短編。ぜひ、ご一読下さい。
いじめられている。そのとき、通学路で出会った、痩やせこけた老婆に。不思議な木の実を渡され……。不気味の終わりかたでした。朝読ホラー部門にあった内容でした。