第6話 嵯峨とランの会話

嵯峨:「俺は……正しいのかな……神前はいずれ『人殺し』になるんだ……いくら『廃帝』の歪んだ望みを止めるためとはいえ……それは良いことなのか?」


ラン:「アタシが言えた話じゃねーが……隊長、アンタは正しいと思うぞ。アイツはうちに引っ張らなければいずれ勝手に『覚醒』する。そーなれば地球圏の連中が何を企てるか分かんねーかんな」


嵯峨:「それは分かってんだよ……でもその方が良いかもしれないと思うんだよね。そうなればアイツは『無罪』だ。人は殺さずに済む。俺は間違いばかりしてきたからな……ここに来てかなり迷ってんだよ」


ラン:「何言うんだよ。隊長がアタシを止めてくれたんじゃねーか」


嵯峨:「いや、お前さんはいずれ止まったよ……『遼南内戦』……遼南共和軍のひどさと狂気はその中枢にいたお前さんが一番よくわかってたじゃないの。それに、お前さんを止めたのは俺じゃないよ。遼州の『女神』が止めたんだ。俺は『最弱の法術師』だからな……『人類最強』のお前さんの敵じゃねえよ」


ラン:「その『女神』が言ってたよ……『私が出た方が?良いか』って」


嵯峨:「人間の争いに『神』を巻き込むわけにはいかねえだろ?……ああ、お前さんを倒すときには御出馬願ったな……でも……」


ラン:「隊長、迷うんじゃねーよ。もう事態は動き出したんだ」


ラン:「それにだ、アタシの前ではいいが、他の連中には迷ってるってことは悟られるなよ……勝てる戦も勝てなくなる」


嵯峨:「そうだな……泣き言はこれで最後にするよ。神前には敵を撃って涙を流さねえ『クズ』にはなって欲しくねえな。お前さんみたいに敵に涙を流せる立派な戦士になって欲しいもんだ」


ラン:「アタシは立派じゃねーよ。ただ『情』のねー人間が嫌いなだけだ」

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ダグフェロン の下書き 橋本直 @hashimoto19

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