202012ジャパロボ 10

渋谷かな

第1話 ジャパロボ10

「はい! 泉ちゃん! もっと頑張って!」

「はい! 愛隊長!」

 日本政府直属のジャパロボ部隊。隊長の愛の指導の元、ランニングや筋トレをやらされるのであった。

「違う! 私のことは愛ちゃんと呼びなさい!」

「は、はい!」

 愛隊の高田泉隊員。

「ちゃん付けはさすがにきついな。」

 伊渡海隊員。

「聞こえてるぞ。」

「ゲッ!?」

「海ちゃん! ランニング10周追加!」

「そんなー!?」

 意外とスパルタな愛隊長。

「いい加減、愛ちゃんの行動パターンを把握すればいいのに。」

 山中笑隊員。

「おかげでこっちは楽できるわ。」

 小加音隊員。

「いい! あなたたち! 今度の皇居奪還作戦では必ずジャパカイダと戦闘になる。しっかり鍛えてあげるからね!」

「ええー!?」

 愛は誰も失いたくないから厳しく鍛えるのであった。

(必ず来る! 菜々子ちゃんも! 今度こそ菜々子ちゃんを取り戻して見せる! 私の大切なお友達!)

 胸に秘めた思いが愛を強くする。


「コードネーム・ラブリ?」

 ローラ隊はジャパカイダから特別任務指令を受けていた。

「ローラ隊長、我々は皇居死守の防衛線には参加しないのですか!?」

 今や皇居はテロリストのジャパカイダの本拠地になっていた。

「そうですよ!? 我々は今やジャパカイダのエース部隊ですよ!」

 隊員からローラ隊長に苦情が入る。

「私も何かは知らないが、皇居よりもラブリというものが大切らしい。私たちはラブリを守ることが任務だ。」

 ローラ隊長もラブリのことは知らなかった。

「ラブリとは最新のOSかAIですか?」

「分からないが我々もジャパカイダの一員だ。上の決定には従わなければならない。」

 テロリストであっても軍隊と同様に規律は守らなければいけなかった。

「・・・・・・。」

「どうした? 菜々子。」

 ローラ隊の菜々子はボーっとしていた。

「え? あ、はい。皇居の防衛でしょ。」

「おいおい!? 大丈夫か?」

 菜々子は愛と出会ってから様子がおかしかった。それは東京都ジャパロボ・パイロット研究所で再洗脳を受けてからも。

(菜々子ちゃん。)

 誰かが菜々子の名前を呼んでいる。

(いったい誰なんだ? 私を呼ぶのは・・・・・・。)

 菜々子の愛の記憶は心の奥底に封じ込められていた。


「これが鈴佐隊長の新しいジャパロボです。」

 今まで見たことのない完成度の高いジャパロボがある。

「これが私の新しいジャパロボ。安倍博士。こいつの性能は?」

 その完成度に愛は思わず驚く。開発者の安倍博士が答える。

「警察と自衛隊のジャパロボの戦闘データから開発された日本政府直属のジャパロボ。タイプ03、新型アーモンド・愛です。性能は02タイプの5割増しでギミックとしてG(重力)の9倍まで勝てます。理論上は、きっと今までのジャパロボを圧倒する強さです。」

「スゴイ!?」

(これなら菜々子ちゃんに勝てる!)

 遂にテロリストに反撃を始める日本政府であった。

 つづく。

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