202010 ジャパロボ 5

渋谷かな

第1話 ジャパロボ5

「惜しい人を亡くした。安らかに眠れ。さとみちゃん。」

「私の浩太朗さんが!? 浩太朗さんが!? シクシク。」

 さとみの友達のすずとAIロボットの令和は涙を零して悲しんでいた。

「勝手に殺すな!」

 その時、台風をかき消すようにさとみの声と共に一台のジャパロボが空から舞い降りる。

「その声は!? さとみちゃん!?」

「zzz。」

「こらー! 寝るなよ!?」

「ごめんごめん。つい癖で。アハッ!」

 掴みはOK。

「ただいま。すずちゃん。令和ちゃん。」

「おかえりなさい。さとみちゃん。」

「あのジャパロボは何?」

「台風さんがくれたの。」

「ええー!? ジャパロボって科学技術モノじゃなかったの!?」

「遂に異世界ファンタジーまで実装したか!?」

 衝撃の展開である。

「大気のある所なら、どこでも風の力を使えるんだって。」

「便利。シャワーした後のドライヤーになるわね。」

「できる! 私は美容師さんにもなれる!」

「そこ力説する所かしら?」

 相変わらずな3人。

「台風さんが言うには、私に世界を救えって。」

「ええー!? 魔神英雄伝ワタ〇!? それとも魔法剣士レイヤー〇!?」

「よくジャパロボで、上記の作品路線に似せることができるわね。」

 どんな作品でも物語でも戦いでも、結局は同じ展開になるのはよくあること。

「疾風のジャパロボ。風の精霊シルフィードが宿る機体。力がなければ嘆いたり、恨んだり、何もできなかったり。でも力を手に入れた、今の私なら何でもできるかもしれない。」

 新しいジャパロボがさとみに勇気と自信を与えてくれる。

「ちょっと待って!?」

 そこに令和ちゃんが声を慌ててあげる。

「元々ジャパロボのAIの私はどうなるのよ!?」

「大丈夫! 竜神丸はいないわよ! もちろん、この風のジャパロボを操縦するのも令和ちゃんの仕事よ!」

「良かった。ふう~。」

 自分の居場所が守れて喜ぶ令和ちゃん。

「でも、風の精霊シルフィードはいるわよ!」

「ガーン!?」

 なんと操縦席にAIロボットの令和ちゃんと風の精霊シルフィードのダブルチームである。

「私の出番が減る!?」

「大丈夫よ。だって私は寝るから。令和ちゃんとシルフィードの二人で仲良く話を進めてね。」

「いいの!? さとみちゃん!?」

「いいのよ。だって私は眠いんだもの。アハッ!」

「大好き! さとみちゃん!」

「私も大好きよ! 令和ちゃん!」

 友情を確かめ合うさとみと令和。

「いいな。私もAIロボットが欲しくなってきちゃった。」

 危険な考えを持ってしまったすずであった。

 つづく。

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