ダメダメ男

渋谷かな

第1話 ダメダメ男

「ダメだ!? 生きていても楽しいことがない!?」

 この物語の主人公、ダメダメ男である。

「1+1=3!」

 勉強もできない。

「50メートルのタイムが10秒!」

 運動もできない。

「ブサイク!」

 カッコよくない。

「僕は何てダメな奴なんだ!」

 ダメの集合体。それがダメダメ男だ。

「死んでしまおう。学校の屋上から飛び降りれば死ねるはずだ。」

 自殺を決心するダメダメ男。

「ごめんなさい。お父さん。お母さん。僕の人生、楽しいことは何も無かったな。」

 両親に感謝するダメダメ男。そして人生を振り返る。

「おまえスゴイな。死ぬ勇気があるんだったら、俺と契約をしないか?」

 その時、ダメダメ男に声をかける者がいる。

「君は誰?」

「俺は悪魔。」

「悪魔!?」

 ダメダメ男は現れた者が悪魔と聞いて驚く。

「そう、俺の名前は悪魔サタン。」

「え!? クリスマスプレゼントくれるの! ありがとう!」

「それはサンタだ! おまえ、意外にガメツイな。」

「お母さんが貰えるものは貰っておけって。アハッ!」

 金銭感覚もせこい。それがダメダメ男だ。

「おまえ、自ら命を絶つなど悪魔にも劣る行為だ。気に入った。俺と契約して悪魔になろう!」

「悪魔と契約? クーリングオフはできますか?」

「できるか!? 悪魔をなめるなよ!?」

 脅す悪魔サタン。

「ごめんなさい! ごめんなさい! すいません! すいません! ぶたないで! 蹴らないで! 痛いのは嫌です! 契約でも、保証人にでもなりますから!」

「なんて飼いならされている奴なんだ・・・・・・。」

 ダメダメ男はいじめられ過ぎて従順な奴隷に飼いならされていた。

「じゃあ、契約成立だ。今日からおまえは悪魔だ!」

「え!? 悪魔になんかなれないよ!?」

「おまえに拒否権はない!」

 ダメダメ男は悪魔と契約した、させられた。

「久々の人間の体だ。楽しませてもらうぞ。」

 悪魔サタンに取り憑かれたダメダメ男の体。

「おい! ダメ男!」

 そこにいじめられっ子たちが現れる。

「屋上に逃げていたのか? おら! もっと殴らせろよ!」

「ワッハッハー!」

 狙いはダメ男だ。

「フッ。弱い奴ほど、よく吠える。」

「な、なに!?」

「一人ではいじめもできないビビりだから、人数だけはいる。」

「なんだと!?」

 これもいじめっ子の本当のことである。分かりやすく例えると、青信号、みんなで渡れば怖くないである。いじめも複数でやれば罪の意識が薄いのが長期的にいじめが続く原因である。

「ダメ男のくせに生意気だ! みんな! やっちまえ!」

「おお! ボコボコにしてやる!」

 襲い掛かって来るいじめっ子たち。

「見せてやろう。悪魔の実力を。」

 ダメ男は余裕なので構えることすらしない。

「死ね! なに!?」

 いじめっ子がダメ男を殴るがダメ男はビクともしない。

「サタン・バリア!」

 ダメ男の全身は見えないバリアで守られている。

「おい、まだ蚊に刺された方が痛いぞ。」

 ここで初めて攻撃態勢に入るダメ男。

「サタン・パンチ!」

「ギャアアアアー!?」

 殴られたいじめっ子の体が空高く飛ばされる。

「なに!?」

 いじめっ子たちに衝撃が走る。

「今のはいじめられてきたダメ男の・・・・・・いや、俺の体の分だ。」

 悪魔サタンは悪魔のくせにちょっぴり良い奴だった。

「ダメ男のくせに生意気だ! 死ね!」

 いじめっ子たちが一斉にダメ男に襲い掛かる。

「相手の実力も分からずに挑んでくるとは、この虫けらどもめ!」

 サタンは気合を入れて攻撃することにした。

「くたばれ! いじめっ子ども! サタン・百連パンチ!」

「ギャアアアアー!?」

 サタンの無数のパンチがいじめっ子どもに炸裂する。

「これからは俺に歯向かわないことだな。ワッハッハー!」

 ダメ男は悠然と屋上から去っていく。

 いじめられっ子も悪魔と契約すれば強くなる。

 終わる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

ダメダメ男 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る