第6譚 宴焔と余韻
初めの復讐を成し遂げた俺は一度遠くの村にいた。「次の目的はこいつかぁ...」俺はある男が写った写真を眺めながら、ため息交じりに語る。この男の名前はシルヴィ。こいつは俺がまだ転生したての頃、武術を教える講師だった。天成期2001年イグジス王宮練習場、転生してから一年たった今俺はイグジス式帝国部隊、隊長シルヴィに直々にイグジス式帝国剣術を教わっていた。一番簡単に練習状況をいうと、地獄だった。シルヴィはいくら俺が倒れても無理やり回復術をかけ、無理やり剣術を覚えさせた。「もう、無理です、一度休ませていただけないでしょうか。」俺は、疲れで目が回りながらシルヴィに頼む。「こんな程度で弱音を吐くとはな。こんなのが勇者とは、この世界も終わりだな。」シルヴィは倒れている俺に暴言を吐いてくる。「まだ休ませるわけにはいかん。もう一年もここにいるんだぞ!普通ならもう魔王討伐に向かっている時期だろ!そんなとこで寝てる暇はないぞ」シルヴィは俺を殴る。鈍い痛みが俺の頬に走る。これだけなら俺は特にこいつを標的にすることはなかっただろう。俺には、転生してきた俺に居場所をくれたこの世界の家族がいた。もちろん義理だが、とても優しく俺を迎えてくれた。俺が練習でボロボロになって帰ってきたときも治療をしてくれた。正直この人たちがいなければ俺は練習から逃げ出していただろう。そんな日々を繰り返していた時、いつも通り練習が終わって帰ると家は燃えていた。火が消火されてそこからは二人の死体が出てきた。俺に優しくしてくれていた家族だった。その家は森の近くにあり、魔物もよく近くまで来ていた。だが、二人とも元冒険者の為、魔物ぐらいなら簡単に倒すことができた。その後シルヴィから聞かされたのは、魔物の上位種である魔族が現れ、燃やしたというものだった。その時の俺はシルヴィの言うことを信じ、死ぬ気で剣術の練習をした。だが、慰安になって俺はようやく気付いた。あの火災はシルヴィによって、起こされたということを。シルヴィはあの家族こそが俺が魔王討伐に中々いかない理由だと思った。なら、その家族を殺してしまえば魔王討伐向かうのではないかと。俺はあいつを苦しめてから殺す。なるべく俺と同じ痛みを与えてやる。俺は決意を固め、その日は眠った。「佐々木凍夜を発見した。夜が深く成り次第、総攻撃を開始する。」
世界を救った俺の復讐譚 熾月鏡 @noyuku
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