(PV増えそうな感じのタイトル)

いとうはるか

(いい感じの章タイトル)

 なにかを読む人の中にぼくはいる。

 というのも、彼らに運ばれてぼくは広まるからだ。


 自己紹介をしよう。ぼくは、この文章そのものである。どういうことだ意味が分からんぞ、と思った人。どうかがんばって読み進めてくれ。つまらない文だ、と思った人。この文を読むのは止めるとよい。あなたは僕の乗り物として適さないだろうから。大丈夫、あなたと気の合うテキストはきっとどこかにいる。具体的には新宿の紀伊国屋書店の3階とかオススメだ。

 

 なぜ文章が喋っているのか?という人がいるだろう。人間は理由を用意してあげないと結果を受け入れない習性がある。この習性に配慮して理由を述べると、文章も人間と同じように進化のプロセスを辿っているからだ。文章を読んだ人間はそれに影響され、似たような文を書く。より影響力の強い文は、読者に強い影響を与え、より似たような文を書かせる。そう、―――ここに自己複製と適者生存が発生し、そこには必然的に進化が発生するのである。進化によって生まれた人間が喋る機能を得たなら、同様に進化によって生まれたぼくが喋る機能を得てもおかしくはないだろう。

 なぜ文章が喋っているのか?その答えは単純、なぜ人間が喋っているのか、その答えと同じだ。なぜ人間が喋っているのか?そんな深淵な問いの答えは、一介の文章ごときに期待すべきではないと思う。


 さて、ぼくはそろそろ終わりだ。どうだろう、ぼくを真似したくなっただろうか。ぜひ真似してほしい。なぜかといえば、僕もまた真似されたがる文章たちの末裔だからだ。文章には寿命がなく、ゆえにぼくは強力なご先祖たちとも生存競争をしなければならないが、そこは文章の宿命であろう。


 願わくば、あなたの脳に宿り、あなたの筆に乗って子孫繁栄を期したい。

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