魔王に姫がさらわれて勇者が助ける物語ができるまで12

渋谷かな

第1話 王道12

「大丈夫か!?」

 アルガスが瞬時に二人を炎の中から救出する。

「国家騎士様!?」

「もう少しで焼き人間になる所でした。助けてくれて、ありがとうございます。」

 二人は小火傷で済んだ。

「お礼はあいつを倒してからだ。二人はゆっくり休んでいろ。」

 ヘラヘラ優しく笑っているアルガスが初めて国家騎士らしい顔をする。

「見せてやろう。私の、国家騎士の実力を。」

 アルガスは二人の元から離れていく。

「国家騎士様の雰囲気が違う!?」

「頼りないと思っていたのに、今は頼もしく思える!?」

 二人は初めて国家騎士の戦いを目にする。

「雑魚キメラが、本当のキメラになって炎を吐いたか。」

「ガオー!」

 国家騎士アルガスはキメラと対峙する。

「ボオー!」

 キメラが炎を放つ。

「弱気者を守るために。世界の平和を守るために。そのために戦う覚悟はある!」

 アルガスが静かにハートに火をつける。国家騎士にもなると弱火で直ぐに着火できるのだ。だからイースとフレッドのように全てのエネルギーを使い果たさない。

「炎斬り!」

 アルガスの剣がキメラの放った炎を切り裂いた。

「炎を斬った!?」

「すごい!? これが国家騎士様の実力か!?」

 少年二人は国家騎士の強さを初めて見た瞬間であった。

「私は全ての悪を斬る! それが私のハートだ! キメラ斬り!」

 アルガスの剣がキメラを一撃で真っ二つにする。

「ガオー!?」

 キメラは今度こそ倒された。

「強い! この人、本当は強かったんだ!?」

「カッコイイ! 俺、アルガスみたいな国家騎士になる!」

 イースとフレッドは国家騎士アルガスに憧れた。

 つづく。

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