第二章 冒険のはじまり

005 勇者、冒険を始める。

勇者ライトの旅立ちの日が迫り、町はにわかに忙しさを増していた。


「村長!国王陛下ご一行がご到着になられます。そろそろご準備を。」


村人の男性が村長に声をかけると、慌ただしく町の入り口へ走っていく。村長も正装に着替え、町の入り口へと向かう。もう20回近く国王はこの村を訪れているため、村人たちもあまり緊張はしていない様子だった。


「母さん。今までありがとう。僕は冒険に旅立ちます。」


息子の言葉に、ローラは涙を浮かべる。


「気をつけてね。つらいことがあったら帰ってきなさい。」


母の愛情だった。もちろんそんなことは許されない。ライトもそのことはわかっているようで、少し涙を浮かべる。


「勇者様、国王陛下がお見えになりました。広場へお越しください。」


国王陛下の護衛がライトに声をかける。最後に母がライトを抱きしめる。ライトは静かに、家のドアを開けた。広場に到着すると、勇者のほうが国王よりも格上であるため、一応ライトが一呼吸置くかたちで会談が始まった。


「勇者ライト殿、国王ジャスティス2世としてここに正式に依頼する。悪の帝国テラーを滅ぼし、この世界に自由と平和をもたらしていただきたい。」


国王の依頼にライトは深くうなずき、守り刀を空に掲げて宣言する。


「僕ライトは、勇者として、この世界に自由と平和をもたらすことを誓い、冒険の旅に出発します。」


こうして、勇者の冒険が始まった。

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勇者は「最強」の定義を考える。 くるとん @crouton0903

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