ボーキサイト

naka-motoo

ボーーーーーーキサイト

エスニックな風景を見つめていると気が付いたら異世界に転生していた。


転生というのは輪廻転生ではなくそれを外れた別ルートの転生なんだって誰かがささやいてる。


平面はツルツルしてて、冷たさもあるので氷だろうかと思ったけど単にタイルカーペットの敷き詰められた床で地表の表面温度の低さから床も馴染んで低い温度になってるんだろう。


前の人生では意味の無いことをすればバズると叩き込まれてたから行動すべてを制限してた。

自由奔放にやれば無意味になるわけじゃなくてその逆だ。


計算高い人間の姑息な所業が意味をなくすんだろうな。多分ね。


だから異世界はわたしにとって永住すべき土地じゃないって感じる。


姑息じゃないからね、わたしは。


そろそろ起きろって誰かの声がしたんで上半身を起こして隣を見るとやっぱり転生した子なんだろう、小さな男の子が仰向けで寝てた。


「ねえ、ねえ」


わたしが声をかけてもそのまま目を閉じて眠っているようなものだから続けて呼びかけてみた。


「ねえ、キミ。キミは眠ってるのかい?実は死んでるんじゃないの?」


そう言ったらようやく目を開けてくれた。


「ぼくはいきてるよ。おねえさんは違うの?」

「どうやら死んじゃったみたいなの」

「じゃあぼくもそうなのかな」

「そうだといいね」


ふたりで草むらを歩いた。


「おねえさん、手をつないでよ」

「どうして?」

「だってぼくとおねえさんだけみたいなんだもの」

「どうしてわたしとキミだけだとてをつながなくちゃいけないの?」

「だっておんなとおとこがひとりずつしかいないせかいだったらなかよくしてないとしそんがはんえいしないよ」

「このままにんげんがしにたえてしまうっていうほうほうもあるかもだよ」

「ぼくとおねえさんがしんだらもといたせかいはどうなるのかな」

「たぶんむこうのせかいでもにんげんがしにたえるとおもうよ」

「じゃあなおさらぼくとおねえさんはいきていないと。そしてふたりでなかよくしてしそんをふやしていかないと」

「どうすればしそんがふえるかキミはしってるの?」

「ごめんね。ぼくはしらないんだ」

「それはなぜ」

「たぶんぼくがほんのこどもだからだよ」

「じゃあむりだね。しにたえるしかないよ」

「いせかいってあまりいいところじゃないね」

「ほんとだね。もっとすきかってにできるのかとおもってた」

「たべものとかどうしようか」

「かりをするしかないね」

「でもどうぶつはぼくらだけみたいだよ」

「かりにもいろいろあるよ。いちごがり、ぶどうがり、がりがり」

「あっははははははは。おねえさんおもしろいね」

「おもしろくないよ。わたしはまじめだよ。かりができないとほんとにがりがりになるもの」

「どうすればぶくぶくふとれるかな」

「ふとるのはわたしはやだな。あすりーとみたいなたいけいがいい」

「あすりーとってなに?おねえさん」

「きょうそうするひとのことだよ」

「じゃあかけっことかするひとのこと」

「だいたいそうだよ」

「じゃあぼくもあすりーとだよ」

「まちがいないよ。キミのなまえは?」

「外道内道」

「え」

「外道内道」

「いきなりかんじでしゃべられてもわからない。それってなんてよむの?」

「ゲドーウチドー」

「じゅうばこよみなんだね。じゅうばこっていったらおべんとうたべたくなってきた。なにかたべものさがしにいこうよ」

「かるものがないよ」

「このつちたべられないかな」

「おねえさんだめだよ。このつちはくさってるよ」

「だってふようどだもの。くさっててあたりまえだよ」

「くさっててあたりまえのたべものってなにがあるかしってる?」

「なっとうとかぬかづけとかなれずしとかなまごみとか」

「なまごみはたべものじゃないよ」

「でももとはたべものだよ」

「そういえばひらがなでしゃべってるとだつじはするかもしれないけどごじはへるね」

「キミなんさい?いってることがカラダににあわずおとなっぽいよ」

「まえいたせかいでは45さいだったよ」

「おじさんじゃない。あああ。こんなことふたりきりなんてそんしたなあ」

「そんはぼくのほうだよ。もっとわかいおんなのこがよかったよ」

「わたしもわかいんだよ」

「いくつなの?」

「33」

「わかくないよ」

「キミよりわかいよ」

「わかくないよ」

「わかいよ」

「わかくないよ」

「わかいよ」

「じゃあ和解しよ」

「どうしてここだけかんじになるの?」

「だってひらがなでしゃべったらいみがわからないでしょ」

「45さいだからそのかんじしってるんだね」

「そんなことないよ。16さいだってしってたよ」

「ねえおはなしして」

「してるよ」

「もっとためになるおhなしして。いままでのむだなじんせいがすべてとりかえせるぐらいの」

「わかったよ。じゃあするよ?むかしむかしあるところにねこがいました。そのねこはさいしょはひとりみだったのですがてきとうななわばりをまいにちぱとろーるしているうちにだんだんとせいりょくをひろげてきがついたらぎゃんぐだんのぼすになっていました。あ、ねこだからぼすねこね。それでけらいにまたたびをもってくるようにまいにちめいれいしていました。せかいのまたたびのせいさんりょうはきびしくかくこくにじんこうやしきんりょくやこくさいてきちいをもとにはいぶんがきめられていてこのくにではじんこうの33ぱーせんとしかしょうみすることができませんでした。なのでのこりの67ぱーせんとのねこをちゅうしんにぼうどうがおこりました。しょうすうみんぞくのまいのりてぃのねこたちはやまにおわれてやまにたどりついたときにやまのかみさまにまたたびをかちとらせてくださいとおねがいしましたが、ならぬ、とさとされました。どうしてですかとたずねたらまたたびはくだらんものだからふつうにかりをしてねずみでもはとでもむしやときゃけでもいいからくちからものをいれてこうもんからだしなさいとせいぶつのあたりまえのせいのいとなみをすすめられました。67ぱーせんとのねこのほうがふつうにいきのこって33ぱーせんとのねこたちはいぞんしょうになってくるってしにました」

「つまらない」

「じゃあおわりにしよう」

「どうすればおわれるの?」

「またべつのいせかいにてんせいすればおわるよ」

「このせかいにさよならすればいい」

「じゃあしよう」

「うんさようなら」

「さようなら」


左様なら。


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