ゾンビ世界を目指して

@nozomi0217

第1話プロローグ

 部屋の蛍光灯は消えていて、モニターの光に照らされた薄暗い部屋に白衣を着た男達が言い争っている。


「今僕達がやっている研究は、体の不自由な人達の治療に役立てるんじゃなかったのか!? 答えてくれ! ドク!」


「………」


 若い研究者が、黙って立っているドクと呼ばれた黒淵眼鏡に掴みかかる。


 しかし、黒淵眼鏡の男はそれでも黙秘を続けている。


「くっ……!!」


 胸ぐらを掴んだまま、壁に押しあてその体を持ち上げ、血走った目で睨み付ける。


「だって……」


 口角を上げ、ドクは話を続ける。


「人間を駆逐して、僕達が神になるって想像してごらんよ! 興奮しないかい? 今は社長bossの味方の振りをしているが、必ず僕達に従わせて見せるよぉ」


 バンっと勢いよくドアが開き、3人の研究者が入ってきた。


 みな一様に目が、腹を空かした肉食獣が獲物を見つけたようにギラついている。


「そ…そんな……あなた達までもが」


 ドクを掴んでいた手から力が抜け、そのままヘタリと腰を落とした男の表情は、暗く、絶望の表情に変わっていく。


「君が、バカ正直で助かったよ。やはり研究者の中で、我々4人以外は信用できないとわかったからね」


 ニマァと下卑た笑みを浮かべ、生臭い息を吐きかける。


 くっ…! と、その顔を歪めるも、やはり体に力は入っていない。


「安心したまえ、君はもう何も考えなくていいのだよ」


 おい。と3人の研究者に声を掛けると、のそのそと動きだす。


「な、何を……!?」


 その言葉と同時に、首に噛みつかれぶちぶちと肉を引きちぎられる音が聞こえてきた。


「く……ぁっ!!」


 続けざまに2人が、腹に、顔面に、食らいつく。


 声にならない声をだし、男は苦悶に満ちた表情に変わる。


 ズルズルズルと腸を掻き出され、頬、唇、をがつがつと食べられる。


 時折びくんびくんと体が痙攣するも、抵抗する力はもうなくなり、されるがままに食されていく。


 その間ドクはこれからこのような光景が、当たり前になる世界を想像しながら、ヨダレを垂れ流し、股間を膨らませ、恍惚に満ちた表情を浮かべていた。

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