第1話 雨の唄

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あの頃と変わってない。

一番奥の席に座る。


「ホットココアください」


言いすぎちゃったかなぁ。

喧嘩するのは何年ぶりだろう?

ううん、まともな会話だって久しぶり。

どうして、こうなっちゃったんだろう…


仕事が忙しいのはお互い様。

私も最近、手抜きになってた。

いつからだろう?

二人で決めたルールがうやむやになってしまったのは。

最近はどれも守れていない。

結婚して十年。

髪型を変えても新しい服を買っても気づかない。

私はいない存在と同じ?


バカね私…

喧嘩したのに、あの人と出会った喫茶店に来ちゃうなんて。


コーヒーが苦手な私が頼むのは、いつもホットココア。

そういえば、初めて出会った日もホットココアを飲んでいた。

あの日も雨が降っていた。

そんなことを思い出しながらホットココアを飲んでいたら…


ー入店のベルー


あっ…

どうして、ここだってわかったの?


そう。(微笑)


ううん、私も悪かった。

ごめんね。


うん。迎えに来てくれてありがとう。


相変わらず不器用な彼。


慌てて飛び出してきたから傘は持ってこなかった。

迎えに来たはずの彼も傘は一つだけ。


相合傘なんて何年ぶりだろう?

照れ臭そうに傘をさす彼の腕をそっと掴んで寄り添った。

雨の日も悪くない。


ぬくもりを感じながら、ふと思った。

やっぱり、この人を選んで、良かった。


改めて気づかせてくれた雨の日のことを、

私は忘れない。


あなたと寄り添い歩きましょう。

あなたと二人、傘の中。


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雨の唄〜10年目の紫陽花 ふわり @fuwari3333

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