第2話 潜入

地中海沖


私は小型の潜水艇に乗り研究所へ潜入した。


施設内は静寂に包まれていた。

敵の見回りもいない。

波や水滴の音は聞こえるが、その他は何も聞こえない。

しかし、電気は通っていようだ。

監視カメラは起動している。

私は通信設備を回復すべく、制御室に向け行動を始めた。


途中、死体を何体か見つけた。

皆、急所を突かれ即死させられている。


一体何が起きているのか?

私は歩きながら考えていた。


制御室へ歩いていると強烈な血の匂いがした。

私は匂いのする方へ向かった。


部屋のドアを開くと、一気に血の匂いが強くなった。

部屋の奥に頭がない遺体があった。

切断面を見ると、頭はかなり綺麗に切り取られている。

死んでからそれほど経っていない。血が固まっていないからだ。


背後から女性の叫び声が聞こえた。


何かが近づいて来る。

2足歩行をしているが、人間にしては音が鋭い。

金属同士が擦れる音がする。爪の音か?


ドアを開け何かが飛びかかって来た。

人間の形をしているが足と手共に爪が異常に伸びている。おおよそ30cmはある。

顔は溶けており、何の部位なのか判定がつかない程だった。


私はクリーチャーの突進を避け脚部へナイフを突き立てた。

クリーチャーが怯んだ。つかさず腕を折り顔面に膝蹴りを入れた。


クリーチャーは私から距離を取った。


再び女性の叫び声が聞こえた。

「助けて!痛い!」

声はクリーチャーの腹部から聞こえる。

さらにクリーチャーの体から枝の折れるような音と水蒸気が発せられている。

よく見るとさっきナイフを突き立てた傷口と折れた腕が再生し始めていた。

そして徐々に女性の声は聞こえなくなっていった。


なんなんだこいつは?

こいつがこの事態を引き起こした張本人なのか?


こういう時に取るべき策は一つ。

先手必勝だ。

私はナイフを構えた。

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選ばれた子供達 @k2020

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